102球目 左投手の145キロは打ちごろじゃない
土曜日の砂浜練習後、俺達は学校に帰って特打ちすることになった。ピッチャー太郎02のボールを、ホームランやバントではなく、素直に打ち返すだけだ。
「
「OK。レフトハンド、スイッチオン!」
ピッチャー太郎02は右投げから、左投げに変わる。ぎくしゃくしたフォームだが、きれいな
「うわっ、あぶな!」
俺の手首に当たりそうになったので、とっさにのけぞる。まともに当たったら、骨が折れてたって。
「さっきは何キロ?」
「145キロです」
「左で145って、速すぎだろ。せめて140キロにしてくれ」
左投手の球速を5キロ増せば、右投手の球速に匹敵すると言われている。つまり、左の145キロは右の150キロ相当なので、高校生の中ではかなり速いし、プロ候補の逸材だ。現に、うちの野球部では、誰1人として150キロを投げられない。
「OK。では、ストレートの
「おやおやおや。それでは、私のストレートは打てないねぇ」
聞きなれぬ声の主を見れば、深緑色の学ランを着た男が一塁付近に立っていた。
「だっ、誰や?」
「
そいつは質問した
名刺には、Kグループ次期社長と未来のメジャーリーグ300勝投手という肩書が付いている。Kグループって、ケータイ会社や野球チーム、ファッションブランドがある大企業じゃないか。
「ここは関係者以外立ち入り禁止よ」
グル監が名刺を受け取らずに通せんぼしても、
「
彼は分厚い
「そのピッチングマシン、10万円で譲ってくれませんか?」
(夏大予選まであと48日)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます