101球目 個人練習はおろそかにしない(東代の場合)
昼休み、コンピュータ室にて、
「オーノー! またミスした!」
「
丸メガネの男が電子パッドにデータ入力しながらつぶやく。
「ボールの変化量の誤差が、キャッチングをハードにします。ノーマルミットならイージーですが」
通常のミットは横に長いので、横や斜めの変化に対応できる。しかし、小型ミットは冬用の手袋よりやや大きいサイズなので、大きな変化に追いつけないのだ。
「野球の変化球は、気温や湿度、風向きによって、かなり変化量の振れ幅が大きくなりますからね。やはり、ランナーがいる時も、ノーマルなミットの方がよろしいのでは?」
「ノー! それでは、甲子園に行けません!」
彼はゴーグルを取って、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「失礼しまーす」
コンピュータ室に
「ったく、グラウンド整備サボりやがって」
「ホワット?
「今日はプールの点検があって入れへんから、学校の練習になったの。知らんかった?」
「ソーリー、皆さん。昨日はサウナでダウンしてから、全く
火曜のサウナ耐久練習は、キムチ丼を食うという鬼殺しレベルに進化していた。
「まぁ、いいけどよ。
「ウェル、このVRで変化球をライトハンドキャッチするシミュレーションしていました」
「ヴァーチャルでいくらやっても、リアルで捕らないと……」
「データの数字も大事やけど、フィーリングもかなり
「ボールを怖がらずに大事に丁寧に捕ればいいかな」
3人に立て続けにアドバイスを受け、
「アハーン。フィーリングをチェンジさせて、
「うーんと、そうだ! ランナーいる時は野球ボールじゃなくて、時限爆弾をキャッチすると思ったら? 親指と小指でつまめば、爆弾が解除されるとフィールしてみて?」
「えー。そんなんで捕れるかぁー」
「OK。
(夏大予選まであと51日)
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