87球目 特訓は1日で終わらない(木曜日)
月曜に月に向かって打つ練習、火曜に
案の定、木製バットを使った練習だ。
「今日はバント練習やります」
「金属バットはボールを飛ばしやすい反面、バントするとかなり転がっちゃうんよね。せやから、この木ぃのバットで、打球を殺すのに慣れてもらいます」
「任せといて、グル監。オレはアコギも得意やから、木製バットでもビューティフルなバント決めるで」
「
真池さんの顔がバラードを歌っている時に変わる。
「バントする人は、どこにボールを転がすか、バントされる側はいかに阻止するか考えながらやってね。最初はピッチャー
バントの阻止かー。俺はできるだけ早いモーションでストレートを投げるだけだな。
しかし、
「カァー。普段の
「お見事です、
それにしても、
6人のバントが終わった後、俺が打席に入る。マウンドには
「バントは簡単に決めさせへんでー」
バットが木っぱみじんになり、ボールがキャッチャーミットに収まる。俺は腰が抜けて、ただただ笑う。
「ネヴァーギヴアップです、ミスター・ミズミヤ」
「ハハハ、そうだな。あきらめたらゲームセットだもんな」
俺は立ち上がり、新しい木製バットを持って、バントの構えをする。ボールを怖がってはいけない。必ず打球を殺す。
急に
再び
「水宮君。オレの『ベースボールパークに君はいない』を聴いたから、バント上手くなったなぁ」
「えっ? マジで歌ってたんですかぁ?」
恐るべし、
(夏大予選まであと78日)
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