34球目 B級グルメの口コミはアテにしない
ボール持ちランニングの後は、キャッチボールと素振りというオーソドックスな練習だった。翌日も同じメニューをこなす。
「そろそろ職員会議が終わる頃やん」
チーター化した
「どんな人が監督かなぁ。出来たら、野球に詳しい人がいいな」
「野球無知の監督やったら、うさちゃんが影の監督をすればいい」
「影の監督……、何やらラスボスみたいでカッコええなぁ」
「おっ。ウワサをすればシャドウが差す。誰か来たよ」
「俺様が持つわ、先生」
「ありがとう。助かるわぁ」
怪力の
先生は面長で、常に笑っているような細い目、雪のように白い肌、自己主張の少ない薄い唇、まさにアジアン・ビューティーな方だ。
「今日から野球部の監督兼顧問になった
スチュワーデスみたいにはきはきしたしゃべりと、丁寧なお辞儀だ。
「グル先、よろしくやん!」
「グル先? って何です、
「
グルメな先生ねー。ということは、俺達に美味いご飯をごちそうしてくれるのかな?
「グル先あらためグル監ってことやね。こちらこそよろしくお願いします、
「あっ、あの箱の中にバナナ入ってるから、皆さんで食べてほしいわ」
空腹の俺達は我先にと段ボール箱に群がる。いつもは朝食のおまけみたいなバナナが、スウィーツのごとく甘く感じられる。しかも、一本食べただけなのに、ゴリラみたくムキムキになったと錯覚するほど、体内に気力が満ちてくる。
「お次はティーバッティングやるよー」
やっとボールが打てる。皆のテンションが上がって、ライブ会場のようだ。グル先が監督で良かったぁ。
(続く)
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