35球目 ティーに当たると危ない

 ティーバッティングは、ティーの上にボールを置き、そのボールを打つ練習だ。初心者がいきなり動くボールを打つのは難しいからな。



 10回ボールに当たったら交代というルールで、1人ずつティーバッティングを行った。待っている人は、各々のポジションについて、飛んだボールを拾う。打撃・守備両方がこなせて無駄がない。



 同じティーバッティングでも、各自の打球に特徴が出てきた。




津灯つとう


 引っ張り、センター返し、流し打ちをまんべんなく行う。ラストはホームランを狙ったのか、やたら高いピッチャーフライだった。




千井田ちいだ


 内野ゴロが多い。内野安打狙いか?



東代とうだい


 バットのスイング速度や角度を計算したものの、ヒット性の当たりは0。



山科やましな


 経験者なので、ホームラン2本、ツーベースヒット級の当たり3本という好成績。



番馬ばんば


 とにかく空振りが多い。ボールに10回当たるまで、50回近くかかった。フェンスの金網を突き破るホームランを放った。



真池まいけ


 バットの重さに慣れていないため、スイングが波打っている。ロックンローラーらしからぬ力のない打球ばかり。



烏丸からすま


 妖怪退治の杖の扱いに長けているためか、バットをコンパクトに振りぬく。ライナー性の打球が多くて、ヒット性の当たりは7本。



取塚とりつか夕川ゆうかわ


 ホームラン狙いのアッパースイングが目立つ。外野フライがほとんどで、ホームランはナシ。



本賀ほんが


 バントしたかのように打球が死んでいる。




 久々のティーバッティングだが、ヒット性の当たり4本でまずまずの結果だ。津灯つとうのファインプレイで2回ほどアウトになる。





 野球未経験者が多い中、番馬ばんばさんや烏丸からすまさんという掘り出し物が見つかって良かった。あとは守りがどうかだな。



「今日は金曜やし、皆さんでラーメン屋行きましょう」


 

 グル監ありがとう。アルカイックスマイルな顔立ちも相まって、彼女が観音かんのん様に見えてくる。



 皆は後片付けをてきぱき行って、ラーメンモードに入った。



(続く)

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