9球目 津灯のフォームは女投げじゃない
「ミス・ツト―は75マイルでしょう。正しく持ちますか」
「
彼女は三塁付近にいる
「キャッチャーからじゃなくて、
「うん。ショートゴロを
彼女の本職が
「お待たせやん。いくでー」
「いってぇ!」
予想以上のスピードボールが来たので、思わず叫んでしまった。
「ホワイ? ミス・ツトーの方が、ミスター・ミズミヤよりスピードがありました。ミステリアスでーす!」
「あたしピッチャーやったことないから、スピードガンで計ってもうたことないんやけど、85マイルぐらい出とった?」
彼女の送球は150キロぐらい出てたかもしれない。俺の左手全体が、静電気食らったかのごとく、しびれ続けている。この女、ただ者じゃない。
「エクセレント! とても
「じゃあ、野球部に入ってくれる?」
俺は気分がベリーバッドなので、野球場のフェンスを遠い目で見ている。一組の男女と視線が合う。カップルは俺に気づくと、そそくさと校舎へ走って行った。
あー、俺も野球じゃなくって、あいつらみてぇな“アオハル”してぇー。
(水宮入部まであと6人)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます