5球目 チーター娘の告白が止まらない
彼女がチーター化したことで、陸上部員に動揺が走る。
「
「何か、いつもより可愛く見えるなぁ」
彼女はウサギのぬいぐるみをそっと地面に置き、黒鼻をヒクヒクさせて涙を流す。
「ううう。何で、あたいがチーターやとわかったん?」
「モデルみたいなスタイルの良さ、キズをなめる仕草、とがった爪の三点セットやね」
そんな薄い証拠では、チーター化の予想が立てられない。きっと、俺と同様に、事前に調査済みだったに違いない。
「チーターやから速いとか、チーターのくせに遅いとか言われるの嫌やったから、ずっと隠してきたのに。もうアカン、あたいの陸上人生終わりやん」
さっきまでの殺気が消えて、パレードの着ぐるみみたいに愛らしさが増している。ネコ耳君なんか顔を赤くして、彼女をまじまじと見ている。
「さっき、
「でも、野球は打席から一塁まで30メートル以下、
「メジャーって、アメリカの?」
「はい! 美味しいお肉がたくさん食べられますよ!」
「そんなら、あたい野球部入るやん。よろしくな、えっーと」
「
俺は「マジか……」と天を仰ぐ。こんな
陸上部員はキツネにつままれた顔で、2人のやり取りを見ていた。ただ1人、ネコ耳君だけが涙をぬぐい、鼻水をすすって拍手している。感動要素あったっけ?
(水宮入部まであと7人)
注:この世界では、女性のプロ野球選手やメジャーリーガーが誕生している設定です。女性の高校野球参加も許可されています。
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