4-転

その瞬間。

私は体をひねる。

声を出す猶予も与えずに、私は奴の首を捻り潰す。

奴はすぐに物言わぬ身体に成り果てた。

あーあ、またハズレだったか。

奴だったものを噛み砕きながら私はため息をつく。

私の体に触れていいのは私よりも強い男だけ。

この残酷な世界で生き残るためにはより強く、より気高い、遺伝子が必要なのだ。

私の子が、私の遺伝子を持つ子が、弱いなど許されない。

弱い者は淘汰されろ。

強い者だけが私にとってふさわしい。

唇の端に皮肉な笑みが浮かぶのを感じながら、「私」は目を開けた。

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