4-承

「お嬢さん。綺麗だね。」

奴は言った。

「ありがとう。」

謙遜なんてしない。

褒め言葉は全て私のものだから。

「ねぇ、そっち行っていい?」

私は微笑むだけ。

返事なんてしてあげない。

奴はだんだんと近づいてくる。

「君は目が素敵だ。その目の中に世界がすっぽり入ってしまいそう。鎌も鋭いね。君みたいな人に出会えて僕は本当に幸運だよ。」

私は小さく笑った。

幸運か。

本当にその通り。

お前のような奴が来ることを私がどんなに待ち望んでいたことか。

奴が私の体に触れようとした。

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