Step4-2 助っ人から習いましょう
〈その通り。カーバンクルが結界の性能を教えなかったせいでこのような弊害が起きますわ。わからない事や困った事などははっきり
後半の鋭い声に、テクトがびくっと震えた。ダァヴさんが相当怖いらしい。私も背筋がぴんっとなる。ハト姉さん強い。
〈私から最低限、必要な事を話しますわ。いいですか? ちゃんと聞いて、覚えるのですよ〉
「はい!」
〈はい!〉
そして教えられたのは、魔法とスキルの覚え方、聖獣の体の事、ダンジョンの事、時間の事だった。テクトは人の子が
魔法やスキルは性質にもよるんだけど、基本的には見るだけで覚えるきっかけになるそうだ。誰かベテランの人が岩をどーん! と地面から生やすような魔法を使っているのを見た場合、土属性と攻撃の性質があれば地面から石ころを生やす事が出来るようになるらしい。覚えたては威力が弱いけど、何度も使い込めば使い込むほど強力になっていく。レベルアップしていくんだね。
また、魔導器官の性質が前衛か後衛かによって、習得率もレベル上げのしやすさも大分違ってくるらしい。攻撃向きの人にもさらに分岐があるんだ……まあ私は戦闘向きじゃないから関係ない話だけどね。
そしてなんと、ダァヴさんは洗浄魔法を使えた。この魔法、
それを、ダァヴさんは私に見せてくれたのだ。
私が着てた
上機嫌にテクトへ見せびらかしてた私を、ダァヴさんは目を瞬かせて愛しそうに細めてくれた。〈生活魔法に適している性質とはいえ、初めてにしては上出来でしてよ〉とお褒めの言葉も
清潔にした後は一服した。お腹が空いたでしょう、と渡されたクッキーと紅茶をもぐもぐごっくん。すきっ腹に染み込みますなぁ。
聖獣の事も教えてもらった。聖獣は基本、飲食睡眠をまったく必要としない生き物らしい。漂ってる魔力を取り込んで生命力にしてるからなんだとか。特殊な魔導器官を持ってるから可能らしい。どんなものも魔力に分解できるから、普通に食べる事も出来るし、私と同じ食事で大丈夫なんだって。それならこれからも一緒に
そういえば、〈聖獣の目はすべてを見通しますから、鑑定と同等以上の事が出来ますわよ〉とも教えられて、目から
聖獣の事で、あとは……加護だ。神様がテクトを遣わせた時点で、私にはテクトの加護がついてるらしい。常時結界とか、テクトが持ってるスキルの影響があったりとか。そういうのも加護に含まれてる。ずっと結界をかけ続けてるのかと思ったけど、加護の効果で24時間365日状態なんだね。道理で洗浄魔法の時はキラキラのエフェクトがあったのに、結界は突然私とモンスターの間に透明な壁が発生した感じだなって思ったよ。
加護は一定日数離れているとなくなってしまうから、加護持ち=聖獣が傍にいる=勇者って法則が出来てるらしい。これもバレちゃいけない禁則事項だね。〈もはや伝説ですから、本当に加護があると信じる人はいないでしょうけど念のため〉だって。
私に授けられた加護の結界は大きさをいじる事はできないけど、テクトの結界魔法は形もサイズも自由自在。テクトの意思で簡単に変えられるらしい。モンスターを押してったのも、廊下にぴっちりサイズを合わせて、奥へ奥へと広げてったんだって。見えない壁にどんどん押されて、モンスター達は訳がわからなかっただろうな。うん。
〈そういえばカーバンクルの事をテクトと呼んでいるのですね〉
「あ、だめでした? かみさま、おこります?」
〈いいえまったく。悪い事など何もありませんもの〉
〈加護の重複は出来ませんが、私にもつけてもよろしくてよ?〉
「ねえさんって、よびたいです」
秒で返したよね。鈴の鳴るような声で〈構いませんわ。これからよろしくお願いしますわね、可愛い妹さん〉って返された時は、思わずガッツポーズしちゃったよ。
それから、このダンジョンはナヘルザークの都市郊外にあるんだって。きちんと統治されてるから治安はいいんだけど、フォルフローゲン筆頭に怪しい奴らが潜入してるそうなので、ダンジョンからはあまり出ない方がいいみたい。〈街中ですと不特定多数に存在を認知されますし、誰が侵入者かわかりませんわ。
このダンジョンの名前はヘルラース。巨大な地下迷宮で、階層は136ある。ふっかいな……ちなみに私がいる階層は108。煩悩の数でしょうか。人間とは切っても切れない数だ、仕方ないね。私欲深いからね。
結構深い場所だとは聞いてたけど、もう少しで最下層とは思わなかったよ……そういえばベテランの冒険者パーティは最下層を目指してるんだっけ。最下層には何があるんだろうか。〈そこまで教えてしまっては、面白くないでしょう?〉って内緒にされたけど。行く事はないだろうし、ちょっとくらい教えてくれても……まあいいか。大変な栄誉を得る、って曖昧なのは聞いたし。
最後は時間。地球と同じ24時間だけど、午前午後がないから12時の次は13時って数えるんだよね。24時間表記だ。
時計も貰った。アイテム袋以上に高価だから、絶対に人に見られないように! って注意と一緒に渡されたのは、お
しかも懐中時計とチェーンの間にくっついてる白い宝石が綺麗なんだよねぇ。親指の爪くらいの大きさで、涙の形してるんだけど、揺らしてると黄色い炎が
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