Step3-2 住居の確認をしましょう

 そして色々調べた結果。カタログブックはこの世界の商品も取り扱ってる事がわかった。

 ポーションって言ったら下級から上級、解毒薬とか状態異常回復薬、魔法使いにひつの魔力ポーション、さらには最上級なんて部類の超高額商品まで画面にずらっと並んで、思わず悲鳴が出たよ。特に最上級ポーションの値段にね。

 下級は冒険者さんの袋にも入ってたし、値段は銀貨1枚でちょっとお高め。多少のや体力の回復なら下級ポーション頼りみたいだ。冒険者の必須アイテムだね。即時効果があるから高いのかもしれないけど、回復役が欲しい所だね。

 やばいのは最上級。これは0がたくさんあった。目が回るくらい。冒険者さんの遺産じゃ払えない金額だったよ……欠損さえ治します! ひんの人も一発で復活! とか売り文句出てたからそら高いでしょうけど。欠損ってあれでしょ。腕とか足がなくなったとかでしょ? その状態を治しちゃうって事は、生やしちゃうんでしょ? ぼーんっと。そら規格外な値段付けられるわ。こんなの普通に売ってるの? この世界半端ない。現代医療も真っ青だよ。

 あと、届いた商品を入れてる段ボールとか、ケーキの空箱とか、いらないものをカタログブックが回収してくれる事もわかった。段ボールに全部まとめて、その上にカタログブックを掲げて「ゴミすて、おねがい!」って言ったらやってくれた。マジで出来てしまった。

 これでダンジョン内にゴミをまとめて置いたり、アイテム袋に入れておかなくて済むね。カタログブックに聞いたら丁寧に答えてくれたので、ナビゲーションは優秀だなぁと思わずつぶやいた。

 ──恐縮です。

「わ、へんじした! すごい!」

 ますますAIっぽい……! これを作った勇者は機械的なものも求めてたのかな? この世界、なさそうだもんね。

 しっかしテクト、遅いなぁ。もう30分くらいしたよ? 体感だけど。うーん、次に集中できるのは……そうだなぁ、裁縫でもしよっか。

 カタログブックで使い勝手の良さそうな裁縫セットを買う。小学生の頃家庭科で買ったような、手提げタイプのカバンに必要なものが全部詰め込まれたやつだ。誰かに見せるつもりもないからポリエステル仕様で汚れに強い、カバンはピンクの花柄、ばさみ入り。私が求める条件のいいとこどりしたら、小学生向け裁縫セットが最適だったんだよなぁ。

 柄に関しては特に好みというわけじゃなくて、自分は幼女である事を見るたび自覚させるため、これにした。私はどうも、今自分が幼女だっていう認識がまだない。いつも通りのつもりで出掛けてあんな目に遭ったし。これを見て常に子どもっぽさを確認しておかないと、大人の時の癖が出そうだ。もし冒険者が来た時に、素のまま話しかけて怪しまれたら元も子もないしね。少しは慣れておかないと。

 裁ち鋏に関してはサイズの問題だ。子ども用の裁ち鋏なら、まだなんとか私の手に合うと思う。

 そして一番大切な、値段の問題。裁縫道具はこれから末長く使うつもりだけど、私の現状だとお金は有限。なるべく安く済ませたかった。まあ小学生向けって言っても、そのまま長い間使えるくらい性能はいい。さすが日本製っていう所かな。

 さて、道具は揃った! これで冒険者さんの着替えを、私サイズにカスタマイズするんだ!! 節約できる所はするよ私は!

 あとアイテム袋を背負いやすく、リュックに加工したい!! モンスターから逃げる時、引きずりながら走ったから足元に絡まって危ない時あったし。私が転びそうだとわかったテクトが、結局ほとんど背負ってくれたけどね。これからも探索する予定だから、背負って両手が空くスタイルにした方が絶対良い!

 裁縫道具と一緒に買ったリュックを広げる。さすがにキャラものは冒険者と出会った時に困るから、幼女らしいけどめた。安くて誤魔化しやすい合皮のリュックだ。今の私が背負ったら小さめのランドセルくらいの大きさかな。大人なら小さいリュックサイズなんだけどね。

 内側の薄い布の、背中側だけ縫い目をほどく。できた隙間にアイテム袋をねじ込んで、仮留めしてから外側と内側をよく観察する。おかしいところがないか確認。

 カモフラージュしたいんだよね。外装と内袋の間にアイテム袋を差し込んで、ボタンで留めて隠す。中身をぱっと見されても、内袋の中しか見えないようにしたいんだけど……妙に膨らむからなぁ。まあ、ダンジョンで生活する子どもだし、一つや二つの秘密くらいあります! って言い張ろう。それがアイテム袋だってバレない事が第一だからね。

 問題無さそうなのでリュックにアイテム袋を縫い付けた。水洗いしても多少加工しても大丈夫って言ってたから、一応洗ってタオルきして除菌芳香剤吹き掛けといたけど……アイテム袋の汚れ、ちょっと残ってるんだよね。なるべく小まめに洗おう、リュック。

 ちくちく、小さい手で地道に縫い続け。時々疲れた腕を振ったり、首を回したり。通らない針に全力を込めたり。アイテム袋のスペースを閉じるぼたんをしっかり付けて、完成!

 試しに背負ってみるけど、全然違和感ない! いやぁ、これはいい仕事しましたね!! 集中した!! 1時間くらいしたかな!! テクトまだ帰ってこないけど!!

 廊下のモンスターがまだこっち見てるよ怖い!! 諦め悪いなモンスター達め!! さっさとどっか行けばいいのに!!

 私泣くよ!? 幼女泣くよ!? 幼女泣かせて楽しいか変態めぇええ!!!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る