第76話
「見てけいくん! ボーナスゲームだよ!」
射的のようなゲームの前で結衣は子供のようにはしゃいでいた。
「おお! 本当だ。良かったな」
俺も結衣のことはいえず子供のようにはしゃいでいた。
「ふふん。もう100枚以上増やしちゃったよー」
コインを入れるカゴを持ったゆいがこっちは自慢しに来た。
「良いなー。俺なんてもう手で持てるほどしかなかって持ってないや」
「良いでしょー。ちょっと分けてあげようか?」
「お願いします。結衣さん」
これでつきそうになっていたコインも相当増えた。今日は結衣の運がいいから助かるな。
そんな風に遊んでいるといつの間にか俺と結衣以外のみんなの姿が見当たらなくなっていた。
「どこ行ったんだろうね」
「ちょっと電話してみるか」
音が大きいので一度ゲームセンターを出て電話をかけた。
「もしもし? 今のどこにいるの?」
『俺たちはそこらへんぶらついてるから二人で楽しみな』
「えっ? 父さん! どういう事?」
『まぁ、簡単に言ったら寧々の配慮らしい。そいうわけだから二人で懐かしの場所を楽しんでな。時間になったら電話するから』
その言葉を最後にプツと電話が切れた。
「っていうわけらしいけど」
「はー……。両方ともの家族って悪巧みみたいなの大好きだよね」
「そうだなー……」
ショッピングモールの中のベンチに座ってそう話していた。
「それならもっと楽しんでやろうじゃない。皆んなが羨ましくなるくらいいっぱい」
結衣はそう言って腕を大きく広げていっぱいを表現していた。
「そうだな。幸いお金は多めにもらってるし」
「じゃあもう少しゲームセンターで遊んだら、どこか違うとこでも行ってみる?」
「だな」
俺たちは一度ゲームセンターに戻り、残りのメダルで楽しく遊んだ。
「はぁー。楽しかった。でもまだ耳がキンキンするよ」
「だなー。それが醍醐味なところもあるけど」
そんな会話をして歩いているとクレープの店を見つけた。
どんどん近づくにつれていい匂いにつられてしまう。
「いい匂いだねー」
「何か食べるか?」
「賛成ー!」
結衣の賛成も貰ったのでクレープの店に出来ていた短い列に並んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます