第61話
「夏休みの予定でも確認しない?」
朝ご飯を食べてくつろいでいると、結衣はそんな事を言ってきた。
「ああ。良いかもな。今日はゆっくりしすぎて暇くらいだし」
「だねー。1日目から宿題なんてやる気出ないし」
そう言ってから、夏休みに何をやるかを紙に書き出していった。
「えっと……。花火大会に、海、それに帰省くらいかな?」
「そうだなー。もっと遊びたい気もするけど」
「そう言っても予定ない日にいきなり遊ぶことになる事も有りそうだけど」
俺の言葉に反応して結衣はそう返してきた。
「確かにそうかもしれないけど……」
結衣の言葉に対して肯定せざるを得なかった。
どうせ一回遊んだら次遊ぶ日を決めそうだからな。
「一日二人きりで遊ぶ日を作る?」
結衣はそんな事を聞いてきた。
「それもありだな……って言っても毎日一緒に遊んでいるようなものだけどな」
「それはそうだけど、外で遊ぶのもまた違ったことがあると思うよ!」
「そうだなー……」
結衣は一緒に遊ぶという提案に、念を押してきた。
思った以上に結衣が強く言ってきた為、少し弱い言葉で返してしまった。
まあ別に外で遊ぶのに否定もないし良いけどな。
そう思ってそんな感じの言葉を口に出そうとすると
「それともけいくんは嫌なの?」
結衣は先にそう目をうるうるさせながら聞いてきた。
「嫌なわけないだろ。今から楽しみだ」
落ち込む結衣は見たくないし、嫌なわけがないのでそう返す。
「良かった……」
「結衣と一緒に遊ぶのが嫌なわけないって。ただ、結衣が思ったよりも強く言ってきたから、ちょっと弱く返してしまだだけだって」
安堵する結衣に対してそう励ました。
「そんなに強かったかなー?」
結衣は強く言ってきたという部分に疑問を持ったみたいだった。
「ああいつもより少し強く感じたぞ」
俺は思っている事を言ってやった。
そしたら結衣は苦笑いしながら言葉を発し始めた。
「けいくんがそう思ったならそうなんだろうな。去年の夏は二人で遊ぶことなんて本当になかったから、その分思い出を作りたいなーって思ったら強くなったんだと思うんだ……」
言っている途中で恥ずかしくなったのか最後の方は声が小さくなっていった。
結衣の言葉を聞いてハッとした。
なるほどな。確かに去年は色々あって遊べなかったからな。その分も沢山遊びたいというのは凄く分かる。
俺だって去年遊べなかったのは、色々悲しい部分もあったからな。
そんな事を思いながら俺は結衣に向かって言った。
「俺も結衣の思ってることに同意だ。今年の夏は沢山遊ぼうな」
「……うん!」
俺の言葉に結衣は少し遅れてから返事をした。
俺の言葉が嬉しかったのだろうか。結衣の心が読めるわけではないから、勝手にそう思っておこう。
そう思った。
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