第60話

 夏休みのの初日。

 今日は家でゆっくりすることになっている。

 そして今日俺はご飯の当番なので早めに起きて朝ご飯を作っているところだ。コンビニとかも良くあったし時間が取れる日はちゃんと自炊をしないとな。


「おはよー。けいくん」


 ご飯が出来上がったときに、パジャマ姿の結衣が目を擦りながらリビングに出てきた。

 最近ではこんなのが普通になっている。結衣が寝起きを見られるのは嫌がっていたのに、最近では今みたいに出てくる。


「ああ。おはよう。もうご飯できてるぞ」

「やったー! ありがとうね」

「別にいいって。今日は俺の当番なんだし」


 俺はそう言いながら、ご飯が盛り付けされた皿を並べていった。


「いただきまーす」

「いただきます」


 準備ができると結衣は食前の挨拶をしていたので、俺もそれに合わせるように声を発した。


「うーん。けいくんの料理はやっぱり美味しいね」

「ほとんど焼いただけだぞ」


 朝ご飯を作ったと言っても、パンに目玉焼き、ウインナーなどの簡単に作れる料理ばっかりだ。


「それでも美味しいからいいの」


 結衣はそう言ってパクパクと食べ進めていった。

 その結衣を見てふと


「可愛いなー」


 そんな事を呟いていた。


「けいくん! いきなりどうしたの!」


 テレビもついてなく、可愛いと認識できるものはゆいだけだった。

 その為か俺の急な言葉に驚いた結衣は、口の中に入っているご飯を飲み込んでそう訊いてきた。


「ああ、いや何でもないよ」

「そ、そう? ならいいけど」


 結衣はまだ少し顔は赤いがご飯を食べるのを再開していた。

 ずっと一緒にいてもたまにこういうことがあるから、それは気をつけるようにしないとな。

 こんな失敗をした時には毎回こう思っている。

 それからは普通に食べていって


「ごちそうさまー」

「ごちそうさま」


 朝ご飯を食べ終わった。片付けをしようと立ち上がると、結衣に引き止められた。


「けいくん。もう急に可愛いなんて言わないでよね。ビックリするんだから」


 頬を少し膨らませて結衣は俺に忠告してきた。


「ああ、分かったよ。次から気をつけるから許してくれ」


 俺はそう言いながら結衣の頭を撫でた。


「けいくんのそういうところがずるいよ……」


 結衣は体をモジモジさせて恥ずかしそうにしていた。

 もちろん俺も恥ずかしいが、結衣の可愛い姿が見られるからちょくちょくやってしまう。


「じゃあ、そろそろ片付けいってくるな」

「私も手伝うよ?」

「いや、いいや。座ってて」


 俺はそう言って一人でキッチンに向かった。


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