第59話
そしてテストが終わってからはあっという間に時間が過ぎ一学期最後の学校の行く日になった。
「ふぅー。やっと終業式が終わったな」
終業式が終わり教室に戻ってきた俺は、席についてうーんと背伸びをした。
「やっぱり何処に行っても校長先生の話は長いんだな」
そしてゆっくりしていると俺の席に皆んなが集まってきた。
「それに加えて生徒指導の話もあるものね」
「本当だよね。分かってることばっかりなのに」
それぞれ終業式が終わりそれぞれ文句を言っていた。
「おいおい。文句を言い過ぎじゃないか?」
「じゃあ何? 圭人くんは文句がないの?」
俺が文句を止めると有紗さんがそんな風に話しかけてきた。
「もちろん文句はあるけどな。腰は痛かったし。体育館は暑いしで、もう大変だよ」
「でしょ。ならいいじゃない。多少の文句も」
有紗さんにそうやって諭された。まあ別に俺にも不満があるし言ってもいいと思ってるんだけどな。
「でも過酷な終業式を終えた後はもうHRを残すだけだよ」
結衣は話を変えるようにそう話し始めた。
「そうだな。でも成績が返ってくるな」
「うっ……」
俺の言葉にいち早く反応したのは聡太だった。
「どうしたんだ聡太。そんなに成績が心配か?」
「逆に皆んな心配じゃないのか?」
俺の質問に対して質問で返してきた。
「もちろん心配だぞ」
「ええ心配ね」
「うんだね」
俺たちは聡太の質問に対して即答した。
「じゃあ何でそんなに落ち着いてるんだよ」
「だって今更焦っても意味ないじゃない。聡太だってやれる事はやったんだから、ドーンと待ち構えていればいいのよ」
有紗さんは聡太にそう言って元気付ける。
「確かにそうかもだな。今更気にしても仕方がない、仕方がない……」
聡太は有紗さんの言葉に元気付けられてか、言葉では気にしないようにしていた。
でも頭の中からは離れないんだろうな、そう思った。
しかしそれに関しては皆んな一緒だ。気にしても仕方がないとか言いながらも気にしているし。
そんな会話をしていると予鈴が鳴り、HRが始まった。
そして夏休みの生活のことについてなど、話し終えて余った時間で成績表を返すことになった。
出席番号的に俺は二番目に返された。最初は有紗さんだったが小さくガッツポーズをしていたので良かったのだろう。
俺の成績はテストを頑張ったためか、思った以上は高かったので安心した。
そして次に返された結衣が席に戻ってきた。
席は出席番号順から変わらなかった。まだ名前を完璧に覚えていないので、席替えはしなかったらしい。
「成績どうだった?」
俺は早速戻ってきたゆいに結果を聞いてみた。
「うん! 良かったよ。テストのおかげだね」
結衣はそう言ってニコッと笑った。
「けいくんもその顔だったら良かったみたいだね」
「ああ、やっぱりテストが大きいよな」
「だねー」
俺たちはそんな会話をした。
そして最後は聡太だった。自分で結構心配してたけど大丈夫だろうか。
そう思ったのがバカらしく思えるほど聡太は良かったのだろう。
有紗さんの方へ向いた後、こっちに顔を向けて屈託のない笑顔でピースをしてきた。
まぁ取り敢えず全員納得できる成績だったのらしいので良かったなと思った。
そしてこんな感じでいつもとほとんど変わらずに一学期最後の日が終わった。
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