第55話
期末テストが終わり後は結果を待つだけになった。この緊張感は意外と楽しいものである。
「今日が結果発表だね!」
教室で結衣にそう話しかけられた。この学校では、結果発表は放課後に行われるらしい。
「ああ、そうだな」
結衣の言葉に対して、俺はそう返事をした。
「でも、やっぱり緊張するよな。朝に発表してくれたら良いのに」
俺はそんな事を呟いていた。一々放課後に発表にしなくても良いんじゃないかと、思ったからだ。
「しょうがないよ。それがこの学校の決まりだし」
俺が呟いた文句に対して、結衣はそう宥めるように返した。
俺たちがそんな会話をしていると聡太と有紗さんがこっちに来た。
「またテストの話?」
「まぁ、そんなところだよ」
「なんか話してないと落ち着かないというか」
「言いたいことはめちゃくちゃ分かるぞ。俺たちもテストの話をさっきまでしてたし」
やはりこの話をするのは、俺と結衣の2人だけではないらしい。
「でももうテストの話はしないようにするか」
「そうだね。もっと楽しい話をしよ!」
俺の提案にいち早くなってきたのは結衣だった。
「楽しい話って何をするのよ」
「うーん……。そうだ!」
結衣は何かを思いついたように、手を叩いた。
「夏休みのことでも話さない? どこに遊びに行くとかさ」
「確かに、それは良い考えだと思うわ」
「確かに、まだ何も決まってないもんな」
「俺も賛成だな」
結衣の提案に対して、ここにいる全員が賛成した。
「じゃあどこ行く? 海? 山?」
夏休みのことを話すと決まると、有紗さんがそう聞いてきた。こういう時有紗さんは大体司会みたいな役割に立つ。
「うーん……。やっぱり海かな。水着も新しいの買ったし」
結衣がそう言うと有紗さんは海という意見に賛成した。
「私も海がいいわね。せっかくの水着だもの」
2人は新しい水着を買ったため海ということになった。
「まぁ俺はどっちでもいいから、2人が行きたい海でいいよ」
「俺も」
男2人はこだわりもなかったから、2人に任せると言った感じで海と言った。
「じゃあ決定ね。じゃあいつくらいに行く?」
行き先がすぐに決まり、次は日程だった。
「俺はお盆以外なら大丈夫だ。お盆は実家に帰らないといけないんだよ」
「私も、同じくだよ」
俺と結衣は自分たちの予定を伝えた。お盆と正月のどちらかは帰って来いと言われているため、お盆に帰ることにしたのだ。結衣もそれに承諾してくれたようだった。
「じゃあ8月の上旬ごろが一番いいのかもね」
「そうだな」
有紗さんが日程を言うとそうだがそれに頷いた。
「2人に予定とかないのか?」
「まあ今は無いけどお盆は埋まると思うわ」
「俺も同じくお盆だな」
やっぱりお盆っていうのは家族で過ごすと言うことになっているみたいだった。
「じゃあその予定で進めていくから、忘れないようにね」
「「「はーい」」」
有紗さんの言葉に俺たちはいつもの返事をした。
そして話が終わると、俺は持っているメモ帳に今話した予定を書き入れた。
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