第54話
次の日。期末テスト二日目だ。
今日は苦手な数学があるから頑張ろう、そう思いながら教室に入った。
今日は俺よりも聡太の方が着くのが早かったみたいだ。自分の席について勉強しているその横に立っている有紗さんに教えられながら。
「有紗ちゃん、聡太くんおはよー」
俺の隣に居た結衣が2人に挨拶をしていたり言うまでもないと思うが、一緒に投稿してきている。
「2人ともおはよう」
「おはよう。圭人もおはよう」
2人は挨拶をした結衣だけでなく、俺にも挨拶をしてきた。律儀だなと思いながらも、
「おはよう。2人とも」
と、返した。
「今日で取り敢えず勝負する教科は終わるな」
聡太がそう言ってきた。会話の内容はもちろんテストのことについてだった。テスト期間中の学生はテストの事で頭が一杯一杯だからな。
「どっちが勝っても恨みっこ無しだからな」
俺は聡太にテスト勝負の話をした。
「そっちこそな」
聡太も満更でもないというような顔をしていた。
俺たち2人が闘志をギラギラに燃やしているところに結衣は質問してきた。
「2人とも勝ったら何てお願いするの?」
「確かにそれは気になるわね。ここまで本気になってるんだし」
結衣の質問に有紗さんも乗ってきた。
「悪いけどそれに関しては秘密だな」
「俺もだ。まぁテストが終わったら分かるんだしいいだろ」
「それもそうね」
「それまでの我慢ってやつだね」
まぁ確かにいずれ分かる事なんだし、今無理に聞く必要はない、そう思ったのだろう。追求することもなく話を終わらせていた。
まぁでも俺と聡太はお互いの命令は何となく予想はついていると思うけど。
「じゃあテスト勉強を始めようかな」
話も一段落ついて俺はそう呟いた。すると
「じゃあ私たちも再開するわよ」
「はーい……」
「私もやろっと!」
と、皆んなも勉強を始めるみたいだった。最後の追い上げだから頑張らないとな、俺はそう思った。
テストが全て終わり、2日目のテストの中で一番出来ないと思っていた、数学があり得ないほど出来た感触があり、とても気分が良くなっていた。
「どうしたの? けいくん。嬉しそうだね」
その様子に気づいたのか、結衣は俺に話しかけてきた。
「ああ。数学がめちゃくちゃ出来たんだよ。だから今は気分が良いんだ」
「良かったじゃん! もう苦手克服だね」
結衣は自分の事のように喜んでくれた。
「これも結衣のおかげだよ。ありがとうな。自分の勉強する時間無かっただろ?」
「いや、人に教えるって一番良い勉強になるって聞いたことあるし、全然良いよ」
結衣が本当に天使にしか見えない。それくらい結衣は優しいのだ。
「結衣は優しいな」
俺は思っている事をそのまま口にした。
「いきなり何! そうハッキリと言われると少し恥ずかしいよ」
結衣はそう言って体をモジモジと恥ずかしそうにしていた。その姿を可愛いなと思いながら見ていると、
「おーい。帰ろうぜ。聡太、結衣さん」
「早くー」
と、聡太と有紗さんに話しかけられた。
「じゃあそろそろ行くか」
「そうだな」
そう言って俺たちは聡太たちの方へと向かった。
「テストどうだった?」
「良かったぜ」
「へー、じゃあ何点くらいあるのか楽しみにしておくわ」
帰りの話題はもちろんテストの話だった。
テストは嫌だけど、テストが終わってこんな会話するのは結構楽しいからな。
やれる事はやったから、後は神様に祈るだけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます