第43話

「うーん……」

「おはよう。結衣ちゃん」

「——おはよー。有沙ちゃん」


 朝、目が覚めると有沙ちゃんが居た。一瞬忘れていたけど、有紗ちゃんの家に泊まってたんだった。

 そんなことを思っていると、


「朝ご飯、食べに行くわよ」


と、有沙ちゃんに話しかけられた。


「あ、うん!」


 私は一瞬だけ反応が遅れてしまったがそう答えて、二人で一階のリビングへと向かった。


「あら、有紗と結衣ちゃんおはよう」

「おはよー」

「おはようございます」


 リビングに行くと、有紗ちゃんのお母さんが居たので挨拶をした。


「おはようご——」

 その後、新聞を読んでいる有紗ちゃんのお父さんにも、挨拶をしようとすると


「やめたほうがいいわよ」

「そうねー。お父さんは新聞を読んでいる時は返事が帰ってこないから」


 と、止められた。


「そうなんですね。分かりました」

「じゃあご飯用意するわね」

「うん。ありがとー」


 有紗ちゃんは、お父さんとは仲が良くないらしいけど、お母さんとは仲がいいんだなと思った。

 それからしばらくして、


「お待たせー」


 と、言って有紗ちゃんのお母さんが戻ってきた。


「あれ? 私たちのだけ?」

「もう食べちゃったのよ。私とお父さんは」

「へーそうなんだ。じゃあ食べようか。結衣ちゃん」

「うん」


 そう言って食べ始めた。

 料理はとても豪華だった。まずジャムが塗られた食パンに、目玉焼き、ウインナーなどの朝ご飯や弁当に入ってそうなものがあった。


 朝ご飯は、私もけいくんも朝起きるのが苦手なため、なかなかちゃんとしたものは作れない。(最悪学校に行く途中のコンビニ買うこともある)

 その生活が普通だったから、こんな感じで出てきたのはびっくりした。

 

「料理とても美味しいです!」

「あら、ありがとうね」


 私の感想を聞いた、有紗ちゃんのお母さんは顔を少し傾けて、頬に手を当て微笑んでいた。


「母さんって料理本当に上手だよね」

「毎日やってるから自然と上手くなってるのかしら」

「そうなんだ」

「有紗ちゃんは料理できるの?」


 料理の話題になっていたため、聞いてみた。有紗ちゃんとは料理については話さないから聞いてみたかった。


「……まあ、人並みよ」

「へー! そうなんだね」


 ちょっと言葉をつまらせたのを気になっていると


「何が人並みなのかしら? 前はカレーを焦がしてたじゃないの」

「ちょっ! 母さん! それは言わないでって」

「あら? ごめんね」

「……有紗ちゃん。大丈夫だよ。気にしないで」

「あ! 結衣ちゃん勘違いしないでね。あの時はたまたまだったんだから」


 私が有紗ちゃんを励ますと、有紗ちゃんはすぐさまカレーのことについての否定をしてきた。


「大丈夫だからね。失敗は誰にでもあるから」

「もうー。結衣ちゃん全然分かってない」

「ふふっ」


 そんな感じで楽しい朝ご飯が終わった。




 

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