第42話

 お泊まり会2日目の日曜日。


「おーい、起きろー」


 俺は聡太を起こした。


「うーん……。もう朝か」


 聡太はそう言うとベットから降りて、うーんと背伸びをしていた。

 それから俺たちは朝ごはんを食べるために、リビングへと移動した。


「今日は何して遊ぶ?」


 朝ご飯を食べている時、そんなことを言われた。


「うーん……。そうだな。ゲームでもするか」

「おお、良いな。なんのゲームする?」

 

 俺の提案に聡太は肯定的だった。


「そうだな……。じゃあこのレースゲームでもやるか」

「分かった」


 そう言う会話をしながら朝ごはんを食べ終わり、俺たちはゲームをすることにした。


「ただ普通にゲームするだけじゃ面白く無いし、なんか罰ゲームでも決めないか?」


 俺はゲームを始める前に、聡太にそう言った。


「ああ、別に良いけど。なんの罰ゲームにするんだ?」

「一つ言うことを聞くってのはどうだ?」

「ああいいぞ。じゃあ早速やるぞ」


 聡太は何も疑わずに、そのままゲームを始めた。

 

「ああ! お前! 青甲羅ずっと貯めやがって」

「ふっ。まだまだだな」


 そんな感じでゲームが進んでいき、最終結果は


「俺の圧勝だな」

「なぁ、お前強すぎねえか」


 俺の圧勝、聡太の惨敗だった。


「じゃあ約束通り、言うことを一つ聞いてもらうぞ」

「あーあ。まぁ約束だし、分かったよ。何をすればいい?」


 聡太は呆気なくやる気になっていた。何も抵抗をしないのならありがたい。


「本当に何でもだからな」


 俺は最後に忠告をしておいた。


「分かってるよ。でも、もちろん俺ができる範囲だからな」

「ああ、それに関しては大丈夫だ」


 最後の忠告も終わり、俺は決心して言うことにした。


「今から、有沙さんの家に行って有沙さんのお父さんに挨拶に行け」


 これだった。もし言ったら嫌われるかもしれないと思っていた言葉だ。

 それを聞いた聡太は


「はは……。冗談だよな」


 と、ポリポリと頬をかいた。


「いや、マジだ」

「いやいや、おかしいだろ。万が一言いに行くにしても、罰ゲームでっていうのはおかしいだろ」


 俺が真剣な顔をしているのに気づいたのか、そう反論してきた。


「お前も俺みたいに、変なところでヘタレになるんだよな。だから、こういうきっかけがないと、有沙さんとずっと一緒にいるのは難しいと思う」


 俺は心の内を聡太に話した。

 俺は聡太と有紗さんが別れるなんて、嫌だし、絶対に無いと思う。

 でももし、何かが起きて別れることになったら、絶対に後悔するはずだ。

 だから俺は、嫌われるかもしれない言葉を、聡太に言った。


「——でも今、有紗の家には結衣さんが居るだろ。お泊まりしてるんだし」

「お前も何となく気づいてるんだろ? 俺たちが何か企んでることに」

「……それは」

 

 周りをよく見ている、聡太が気付かないわけがない。やはり聡太は何となく気づいていたようで、俺から目を逸らした。


「でもまぁ考え始めたのは、お泊まり会が決まった後の話だけどな」

「だろうな……」


 俺が大体の説明をし終わると、聡太は考え始めた。

 そして少し時間が経った後


「圭人。俺を殴れ!」


 そんなことを言ってきた。

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