第40話
「ピンポーン」
私は有紗ちゃんの家に着くとインターホンを鳴らした。
今日から有紗ちゃんの家でお泊まり会だ。どんな事があるか楽しみだけど、一番の楽しみは今日のためにけいくんと考えてきた作戦だ。
それは、"有紗ちゃんと聡太くんもっと仲良く大作戦!"と言う名前だ。
けいくんにこの名前を言ったら、「変だ」って言われたけどそんな事ないよね。
まぁいいか。——二人には何か抱えている事があるのは、なんとなく分かる。
だからそれを解決できる手伝いをしようとなったのだ。
おせっかいって言われてもいい。私たちも有紗ちゃんと、聡太くんに助けられたからね。
だからこの作戦を絶対成功させるぞ!
そう意気込んでいると
「あっ! 結衣ちゃんいらっしゃい」
その声とともに有紗ちゃんが出てきた。
「少しの間だけど、よろしくね!」
「はーい。女の子だけだし、女の子だけじゃないとできない会話が沢山できるわね」
「そうだね!」
その話はできるか分からないけど、私はそう心の中で呟いた。
けいくんと私に話してくれた事で、なんとなくの予想は立ててみたけど、違うと思うから、話は聞いておかないとね。
会話を少ししてから家に入れてもらった。
「お邪魔します」
「さあさあ。楽しんでね」
それから少し歩いてリビング近くに来ると、有紗ちゃんの両親らしき人がいた。
ちゃんと挨拶はするべきだろう、と思って私は二人の近くに向かった。
「笹原結衣と言います。少しの間ですが、よろしくお願いします」
友達の親に話しかけるのはとても緊張した。
私が言い終わると、まずはお母さんの方が
「あ、結衣ちゃんね。有紗から話は聞いてるわよ。よろしくね〜」
と、優しい声が返ってきて安心した。
顔はとても有紗ちゃんに似ていて、お母さん似なんだと思った。
その後お父さんの方も挨拶を返してくれた。
「ああ、よろしく」
少し貫禄がある顔だったので怖かったけど、思った以上に優しそうな人でよかった。
「じゃあ結衣ちゃん。私の部屋に案内するから」
「う、うん」
有紗ちゃんは早くここから離れたいのか、私を急かした。
「…………」
「どうしたの?」
「いや! なんでもないよ。行こ」
「う、うん……」
有紗ちゃんが見ていた方向を見てみると、有紗ちゃんのお父さんがいた。
(仲が悪いのかな?)
そんな事を思いながら、私は有紗ちゃんについて行った。
***
「お父さん。そろそろ認めてあげたらどう?」
結衣と有紗が部屋に行った後、そんな声が聞こえてきた。
「あなたも有紗とずっと仲悪いのは嫌でしょう」
「それはもちろん嫌だが、それとこれとは別問題だ。——だが、もしもう一回挨拶に来たら、話は聞いてやらんでもないが」
「はぁー。お父さんも素直じゃないわね」
そう言ってちょっとした会話が終わった。
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