第4話

「圭人。お前みたいなブサイクが結衣さんに近寄るな!」

「…………」


「う、うーん……」

「——くん、けいくん。大丈夫?」


 朝起きると結衣が心配そうな顔をして、俺の顔を覗き込んできた。


「あ、ああ大丈夫だ。——何でここに?」

「朝だから起こしにきたの。そしたら、うなされてたみたいだから」

「ああ、大丈夫だよ。心配しすぎだって」

「心配もするよ。……またあの夢?」

「まぁ、違わないけど」

「ごめんね……。私のせいで」

「結衣のせいじゃないよ。気にするなって」


 そう言って、結衣の頭を撫でた。


「う、うん」


 慰めていくうちに、少しずつ普通の顔に戻ってきた。そう思ったら結衣は口を開いた。


「でもね。同じ事が高校でも起こるんじゃないかなって考えちゃうんだ……」

「大丈夫だって。そのために結衣に見合う容姿になれるように努力したんだし」

「うん。そのおかげで、けいくん前よりカッコよくなったもんね」


「まだ実感が湧かないけど。そんなにもか?」

「うん。かっこいいよ。逆に私がいじめを受けるかもね」

「そんなわけないって。結衣は可愛いからな。それにもし、いじめられても俺が助けるよ」

「うん。頼りにしてるよ」

「任せとけ」


 そんな会話をしていると、結衣が笑い出した。


「ふふっ。やっぱりけいくんと話してると、楽しいよ」

「元気になったか?」

「うん。もうバッチリ。——でも」

「でも?」


 俺がそう聞くと、結衣が少し顔を赤らめた。


「なんか、さっきの会話。バカップルみたいだなって思っちゃって。恥ずかしい……」

「…………」

「ちょっと何か言ってよ!」

「いやそう考えたら、俺も恥ずかしくなってきたんだよ。でも俺たち付き合ってもないんだぞ」

「そうだけど……」

「結衣は俺よりももっと良い人見つかるって。その人とこういう会話をしたら良いと思うぞ」


 結衣はもっと良い人と一緒になるべきだ。

 今、一緒にいるのは、幼馴染っていう事と、あの時のことを気にしてだろうからな。


「(けいくんより良い人なんていないよ……)」

「うん? なんか言ったか?」

「ううん。何でもない。じゃあ元気も出たことだし、朝ご飯の準備でもしよ!」

「じゃあなに作る?」

「エビフライ!」

「はいはい、卵焼きな」

「なんでー……」


 そんな会話をしながら、リビングへと向かった。

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