第14話
この世界の言葉をなんとか覚え、生活にも慣れて来た。
多少ナノマシンの力を借りたが、ずるいとは言わせない!そもそもこんな世界に飛ばした方が悪いという事にしておこう。
この世界の事を調べていくと色々と違和感が浮上してくる。分かり安い所だと街の中の衛生面が時代的に進んでいる事だ。雰囲気的には中世くらいの見た目なのだが地球での中世といえばよく聞くのが街中に悪臭が漂っていた、とか、街の中にアレコレ落ちていたという話があるのだがそういう事はない。確かに馬とかロバの輸送手段は使われているが、持ち主、雇い主が責任を持って処理する事が法によって決まっているのだ。
各家庭に対しても、下水がしっかりと整っていて国が率先して衛生面に力を入れている事が分かる。
入浴にしても公衆入浴場があり国の補助が出ているのでかなり一般的に使われている。その一方で石鹸とかは中世より少しいい物?程度なのだ。
ちぐはぐな部分は魔力という、地球に無いものがある為、このような発展を遂げたという可能性もあるが、中途半端な知識が使われてそのまま広がった感じが否めないというのが客観的な視点だ。
そして数日前に雑貨屋で見つけたオセロ。店主に聞くと数年前に突然出てきたという。
地球の知識が入って来てるとは確信は出来ない。だがそれは可能性としては捨てきれないのが現状だ。
身近であればラナが刀という単語だけを知っていたというのもある。しっかりと話を出来るようになってから聞いてみたが、ぼやっと頭に浮かんで来ただけで詳細を知ってる訳では無かった。ラナの父親である、リオデールさんは冒険者として世界を回ってたらしいが、聞いた事も見たことないと言っていた。
(もうちょっと落ち着いて来たら世界を見て回るのも面白いかもしれないな)
『単独での旅はあまり推奨出来ません』
(慣れたと言ってもびっくりするから突然出てくるなよ…)
『危険性の高い事に対しては忠告させて頂きます』
(はいはい)
まぁ言ってる事は分かる。この世界で単独で旅をするとして、街から街への間は移動手段が限られるので、どうしても日数がかかるし、自由を少し制限される事になる。街同士での馬車などの流通は確立されているので繋がらない事はないが、もしそれがない所に向かうとしたら単独だと危険性は跳ね上がる。
(と言っても旅をする知り合いがいる訳でもないし、勝手気ままに旅する方法か・・・)
『国の施設で人材を育成している機関があります。』
(奴隷じゃないんだから連れ回す訳にはいかないよ)
『成人であれば自由意志で活動する事が出来るので希望する者を募集は出来ます』
(成人であれば?冒険者ギルドとかのことじゃないのか?)
『国が保護した難民、孤児、犯罪者等を統括している機関になります』
ちょっと気になったが情報源は気にしない事にした。
(国が奴隷商人みたいな事を?)
『いいえ。奴隷ではありません。資格があれば誰でも可能で、講習会を受けて審査を通った者が資格を得る事が出来ます。凶悪犯罪ではなく、更生の余地ありと判断された犯罪者は、国の機関で罰金の支払いの為の労働と刑期を過ごす事も出来ますが、一般市民が労働力として必要とすれば刑期の間であれば貸出という形にして逃亡防止用の魔法を掛けた状態で働く事が出来ます。刑期が終わり罰金の支払いが終われば、その後は働いていた先でそのまま就職という事例もあります。逃亡防止の魔法があるという事で成り立っています。』
魔法って凄いな。
(難民、孤児は?)
『成人であれば自由意志で就職も出来ますし、身体的な理由により制限がある場合はそれに合わせて国の機関が就職する先の仲介もしています。未成年の場合は基本的には保護者となり、被保護者に対して不利になる事は一切禁止されています。』
(まぁ危ない人間に子供を渡すとかはないよな)
『ご希望であれば世界政府にあるデータベースの照合も可能です。他にも資格情報の割り込みと共に信用度を最大に引き上げ、優秀な人材の引き抜きが可能です』
(や・め・ろ)
『了解しました』
突然提案される世界政府とかいう機関へのハッキングの提案を即刻、却下した。やはりこのAIはマッドに作られたって事で人格を引き継いでるんじゃないだろうかと思い、ため息をつく。
まぁでも少しは有益な情報だったので良しとしよう。旅をするときの一つの選択肢が出来たという事にして、他の問題点を洗い出す。
旅をするにしても地球と全く勝手が違うし、キャンプのように楽しくって訳にはいかない。食料、野営道具、自衛手段と問題が山積みだった。今出来るとしたら自衛手段の確保と道具の為の資金稼ぎか・・・
(ラナのお父さんに戦い方とか聞いてみるか)
『地球の格闘術、サバイバル技術のインストールが可能です』
(いりません・・・)
時間のある時にお願いしよう。あとは資金稼ぎをどうするかだが思いつくのはほとんどない。薬草の採取だけでは、なんとか日々の生活費になるかどうかなのでもう少し余裕を作る為にはなにかを考えなければならない。
この街での需要を知る事でなにかヒントが得られるかもしれないので、皆にとりあえず聞く事にした所で、夕飯に呼ばれたので向かう事にした。
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