第5話 高橋作戦2

 『ふぁあ、眠くなってきたなぁ』



 『我慢してくださいよ、何のために来たんですか。もうすぐ、3時なんで多分、もうそろそろ鳴ると思います』



 俺だって寝不足なんだ。大きなあくびをして今にも眠りそうな高橋さんを揺すって起こし、俺たちはその時を待っていた。



 『本当にするの音?全然気配ないけど』



 『しますって』



 『霊にとり憑かれた本間くんだけに聞こえたりして』



 『止めて下さいよ、俺は信じるタイプの科学者なんですから!』



 『アハハ、ゴメンゴメン。でも鳴らないねぇ』



 『鳴りますって』




 『あのさぁ』



 『なんですか?』



 『もしかして幻聴なんじゃない?』




 『なんでですか、僕は正常ですよ』




 その時、天井を見つめる高橋さんの顔が急に真顔になった。




 『そうかなぁ、君のつくっているあれ』



 『え?』



 『毎日一所懸命につくっているあの化合物さ。あれにさぁ、そういう作用があるとしたら、どうする?』





 『え?どういう』





 『・・・』 


 ニタリと笑る高橋さん。




 『それ、マジですか?』




 『・・・』




 『ちょっと、高橋さん?』






 『ないよ、保証する。アハハ』




 

 このどSがっ!



 俺が心の中で高橋にツッコミを食らわせた直後だった。





 部屋にあの衝撃音が響いた。


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