第1話④

 引っ越しから、早くも5か月が経過しようとしていた。


 研究室の日々は慣れていくと共に忙しさを増していった。


 夜遅くまで体に悪そうな化学薬品の合成実験を行っては失敗を繰り返す日々。土日を研究に費やすことも多かった。それにプラスして、論文発表が控えていた俺は執筆活動もしなければならず、慣れないひとり暮らしということもあり、毎日が疲労な困憊になっていた。


 『理想ほどうまくはいかないな』


 ときどき、薬品を吸うせいか、めまいも起こり、体調も悪くなっていった。


 気づけば、ごみを出し忘れたり、分別もテキトウになって、シンクには洗い物が溜まり、風呂にはカビが生え、そして、何処からともなく飛来した小バエとお友達になった。



 そんな時だった。



 突然2階から衝撃音が鳴り始めたのは…。

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