第4話 1000日後に世界最強

 今日からまた地獄のトレーニングの日々が始まった。


 来る日も来る日も筋トレ地獄。

 せっかくだから、俺は「筋肉成長日記」みたいなのをつけることにした。



 ………

 ……

 …



 一日目:『今日から毎日腕立て・腹筋・背筋2万回を10セット、走り込み1万キロがノルマとして課されるようになった』


 二日目:『すでに全身筋肉痛。この時点で筋トレ110万回以上とランニング15万キロやってるから当然っちゃ当然かも』


 三日目:『今日から「食育」というメニューが追加された。内容はひたすらに食べて力をつけるというシンプルなもの。


 「お米」という初めて見る食材を食べるのだが、これがものすごくお腹に溜まってキツい。ちなみにノルマは一日どんぶり50杯』


 四日目:『早くも俺の身体に変化が現れた。腹筋が六つに割れ、大胸筋が激しく自己主張するようになった。手足も強靭に発達した。


 とはいえ、元々が細身だからゴリマッチョみたいになることはない。あくまでもスマートな、細マッチョな体つきだ』


 七日目:『修行が始まってから一週間。俺は、ティアに二度目の魔力注入をした。

 二回目とはいえ、やっぱり緊張した。ティアの寝息がかかっただけでもうヤバかった』


 十日目:『この日から「剣術の特訓」というメニューが加わった。刀の扱いに関してはド素人の俺。

 だから最初は女神様から基本を教わったあと、素振りを毎日10万回やれって言われた。もちろん筋トレ10万回ずつ、走り込み1万キロと並行して』


 

 しばらくの間ずっとこのメニューを反復し続けた。そしてそれから一ヶ月。



『体力・技術ともに基礎ができてきたと女神様に褒められた。


 彼女曰く、魔力というのは強靭な心臓が鼓動を打つことで生成されるらしい。

 筋トレ地獄はその土台となる肉体作りのためだと教えてくれた。


 今の俺は、呼吸をするだけで魔力が全身に行き渡るまでに成長している。

 おかげで体力が底上げされ、疲労や怪我の回復が格段に早くなった』


 

 すると、女神様はそんな俺に新たな特訓を付けてくれるようになった。



『修行開始から40日。いよいよ本格的な剣の特訓が始まった。


 俺は今、女神様から「剣術」という魔力を使った剣技を教わっている。

 彼女曰く、「剣術」とは人間が魔人に対抗できる唯一の手段で、武器から魔力を知覚することで発動できるらしい』


 

 剣の修行は半年に渡って行われた。

 自分に合う「型」を見つけ、それをひたすらに極めていく。


 そして、女神と出会って早二年。

 俺は『風の剣術』を会得した。



 730日目:『俺はようやく「剣術」をマスターすることができた。七つの技を持つこの『風の剣術』。その全てを極めた。


 ちなみに、俺は一本の長い刀を持つより二本の短刀を持つスタイルの方がしっくりきた』



 だけどそれとは裏腹に、ティアはまだ目を覚ましてはくれなかった。


 キスを怠った日は一度もない。

 死ぬほど鍛えて死ぬほど魔力を作り、注入した。


 それなのに、ティアは目を覚ましてくれなかった……



『それでも俺は修行を続けた。そして1000日目の今日、俺は女神様に言われた。


「もう教えることはない。今までよく頑張ったな」……と』



 そして、女神様は「最後の試練」を言い残し、俺の前から姿を消した……

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