第31話ですわ!



「……キャロラインさんって意外と気が強いというか……」

「悪役令嬢ですから!」

「そ、そうだね……(向いてないっちゃー向いてないと思うけど)」


 許し難いものは許し難いのですわ!

 文句の一つ二つ言ってやるくらい、許されるはずです!

 NPC代表で言ってやりますわ!


「でもやっぱり危ないと思うから、しばらくはオレと一緒に行動しよう。うっかりこの間のプレイヤーたちに会ったら君一人じゃなにをされるか分からない」

「……と仰るという事は、犯人は先日の彼らで間違いないのですね?」

「うん。映像記録をオレも確認した。間違いなく先日の奴らだったよ」

「むう……」


 確定ですか。

 まあ、それならあとはあの方々を探し出して問いただすだけで済みますわね。

 わたくしはただのNPCですから、彼らの『カルマ値』をちょっぴり増やして制限を増やすぐらいしかできませんが……せめて彼女が壊された理由くらいははっきり知りたいものです。

 ……わたくしのように、ちゃんと理由があるのなら、彼女だって自分の『死』を受け止められるはずですわ。


「NPCを襲って『殺した』のであれば、この国で賞金首になっているはずですわ」

「うん、ハイル王子もそう言っていた。だからオレがその確認をする事にして、ハイル王子とエルミーは酒場や宿屋を手分けして探す事にしたんだ」

「まあ! では今ハイル様とエルミーさんは二人きり……!」

「んー……どうかなー?」


 ど、どうかなー?

 なんですか……。

 一緒にいる確率は、まさか低いのですか?

 ぐっ、それは困ります。

 二人にはしっかりとデートして頂かなければ!


「まあ、先に二人が合流していれば二人きりといえなくもない、かなぁ?」

「ではたっぷり時間を掛けて戻りましょう!」

「はーい……」

「ご協力感謝致しますわ!」


 るんるんとしつつ、ではまずは例の四人組プレイヤーのおおよその居場所を懸賞屋に確認ですわ!

 受付のおじ様にエイラン様が問い合わせると、『花の森』の方角にいると教わりました。


「『花の森』か。……あいつらビギナーじゃないくせになんでビギナー用のダンジョンに……」

「簡単な理由ですわ。『花の森』はダンジョンの中でも隠れるのに最適なのです」

「え? どういう事?」

「食糧となるモンスターが多いですし、ビギナー用ですから雨避け程度の洞窟や湧き水ポイント、キャンプ可能ポイントがありますの。そして一番は植物系モンスターが多いので、マップが入る度に変化するんですわ」

「!」

「植物系モンスター……『花の森』のモンスターたちは、ビギナープレイヤーを惑わす為に動き回りますの。ですから入る度にマップはランダムで変化します。とはいえ、そんなに広くありませんからエイラン様ほどの方なら彼らを探し出すのに三十分もかからないと思います。ですが、彼らも素人ではないはずですから動き回ると思いますの。そうなるといたちごっこでしょうね」

「っ……そ、そういう事か……」


 そして、『花の森』を隠れ場所に選んだという事は彼らも『追われる』自覚があるのですわ。

 どうやら『カルマ値』が上昇してこの国に居づらくなっているのは分かっているようですわね。

 まだ国家指名手配のレベルではないと思っているのかもしれません。

 ですがハイル様が一言『国家指名手配に認定する』と言えば、その瞬間に国家指名手配犯ですわ。

 ハイル様にはその権限がありますもの。

 王子なので。


「となると、人を集めて探した方が効率は良い?」

「はい。生徒たちに協力させるよりはお城から兵士のNPCを借りてきた方が良いですわ。彼らが『殺害』したのは貴族令嬢のNPCですの。庶民のNPCより『カルマ値』の上昇率が二倍ですし、ハイル様なら兵士NPCを無限に持ち出せます。兵士は戦闘力の設定も可能ですので、プレイヤーは四人でパーティーを組んでいたとしても、ひとたまりもありませんわよ」

「う、わ……」


 下手したらイベントのビッグ種モンスターよりも無理ゲーですわ。

 諦めて投降なさる事をお勧め致します。

 穏便に投降してくるのでしたら、牢に閉じ込めて反省して頂いた後『入国禁止』にして我が国から出て行って頂く事になると思いますわ。

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