第16話ですわ!
…………結局『お勉強イベント』は起きませんでしたわね。
ゲームなのにイベントが正しく起きないなんてエラーじゃありませんの?
えーと、次のイベントは『二人きりで森のダンジョンへ実戦訓練』ですわね。
ここでプレイヤーさんは『狩り』『鑑定』『採取』のスキルを覚えます。
なのですが……ハイル様はエルミーさんと
その様子が全く想像できませんわ……。
かと言ってわたくしが付いて行くのもイベント的に違いますし……。
わたくしは二人が帰ってくるのを学院で待ち構えて、ヒロインが実戦訓練の成果を教師の方に見せる試験を魔法で邪魔立てするのですわ!
「………………イベント……起きますかね……?」
そもそも。
***
「では、本日は実際にフィールドやダンジョンに行って『狩り』と『鑑定』と『採取』のスキルを習得してみましょう。中にはすでに持っているスキルもあるかもしれませんが、持っている人はスキルの熟練度を上げて新しいスキル習得を目指すように。ダンジョンは危険なので、二人一組で挑んでください。こちらで組む人を決めましたので発表しますね。ハイル・エレメアン殿下とエルミー・ミュリーア」
おっと思わぬ形で強制イベントになりましたわ……!
「ちっ」
「けっ!」
お、お二人ともはしたないですわよ!
「次にキャロライン・インヴァーとエイラン・ユニカ」
「は、はい」
「はい」
わたくしの番ですわね。
普通にNPCさんとの訓練なので生徒Aとか生徒Bとかで呼ばれると思っていましたが……。
お名前があるNPCさん?
「!」
実戦用アバター……!
あ、違いますわ、この方プレイヤーさんですわ。
腰に『双剣』という事は、『編入』の生徒……プレイヤーさんですわね。
『編入』とは他の身分でスタートしたプレイヤーさんが、ある複数の条件や特定の依頼をこなすと王立貴族学院に通えるようになる事ですわ。
他の身分でスタートしたプレイヤーさんは『魔法スキル』を修得する為に、専門家NPCの『魔法師』か『魔女』に弟子入りしてチュートリアルをクリアしなければなりません。
この方々は各国に点在しておられるんですが、スキル保有数が百を越えないと彼らに会う為の依頼を受諾できないんですの。
ですから身分を『貴族』でスタートした方々はかなりお得なのですわよ。
……まあ、他の身分より圧倒的にチュートリアルシナリオが長いので、早く他国やランクの高いダンジョンを自由に遊び回りたい方には、行けるダンジョンとフィールドが学院近辺という制限がある事に不満を感じる方もいるかもしれませんが……。
でも、授業の合間にビギナーダンジョンには行き放題ですし、覚えられるスキルも多いですし、そこはプレイヤーさんの好みの分かれるところですわね〜。
おっと、話が逸れましたわ。
こちらの方は『双剣』を装備されていますから、多分『冒険者』『暗殺者』や『盗賊』『義賊』『海賊』『賞金稼ぎ』などの身分からスタートした方でしょうね。
これらの身分からですと『短剣』が初めに覚えられるのですが、『短剣』スキルの練度を上げると『剣』『刀』『短刀』のスキルが取得でき、装備できるようになりますの。
更にこれらの練度を『成熟』以上に上げれば『双剣』『二刀流』が覚えられますのよ。
これはかなりのやり込み型プレイヤーさんですわね!
「……あ、よろしくお願い致します」
「あ、はい!」
笑顔で応えてくださいましわ。
向こうはわたくしをNPCだと思っていると思いますけれど……。
「…………」
ですが、不思議ですわ。
『双剣』スキルを覚えられるほどのプレイヤーさんなら、学院に編入してこなくとも『魔法師』や『魔女』に辿り着けそうですのに……。
『暗殺者系』の身分から始めたのなら、たどり着くのも早いはず。
ん〜〜?
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