第48話

「今日も此処に居たんだ?」


 男子生徒は、不敵な笑みを浮かべる。


「私は……」


「いやいや、こうあからさまに避けられたら、逃げられてるって察せられるっしょ?余程おめでたい頭じゃ無い限りさ……」


 灯里は今や、最も苦手な相手に躰を強張らせた。


「そんなに逃げなくても、いいのにさ……」


 男子生徒は何時もの様に、不気味な薄っすらとした笑いを浮かべて近寄って来る。

 恐怖しかない笑い顔。虫唾が走る程の笑顔。気味悪い笑い声。


「ち、近寄らないで!」


「はぁ?近寄らないと、何にもできないじゃん?」


 男子生徒の腕が伸びる。灯里は恐怖に怯えて身を屈めた。

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