第三話
町田灯里
第47話
先生の指は細い。先生の手は大きい。先生の腕は長い。
先生の唇は温かくて、先生の体躯は温かい。
熱を持った目で見つめ、熱を放つ躰を重ねる。
先生の……。
町田灯里は、終業のベルを聞いて身を起こした。
慌しく入って来た女性教師は、幾つかの画板を手に忙しげに出て行った。
「今日は部活は無い日なのに……」
灯里は、美術室のドアを開けて廊下に立った。
そして向こうから歩いて来る、ちょっと厄介な相手を認めると、慌ててドアを開けて美術室に逃げ込んだ。
だがそれは間に合わずに、相手は音もなくドアを開けて中に入って来た。
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