ヒロインというものはさ

第43話

「あれさぁ……双子のヤツ」


 伊能君は隣の席の、十朱君に視線を向けて言った。


「ヒロインって、どっち好きだったの?結局……」


「えっ?」


 十朱君は唐突に伊能君に問われて困惑する。

 まっ何時もの事なんだけど……。


「双子のヤツ?」


「……さぁ?どっちだろう?」


「お前らのヒロインは?どっちだった?」


「まどかは弟の方……余りに好き過ぎて、僕がめいっぱい似せたから、だから一瞬間違っちゃたのさ。願望ってヤツ?」


「……で?今上手くいってんの?」


「いやーマジそれ伊能君が聞くんだ?」


 十朱君は、凄く明るく笑って言った。

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