双子の十朱君

第33話

 そんな噂を、思い出しながら上がって来ると


「へぇ?二階って親の寝室?」


 伊能君が、二階を見渡して聞いた。


「あー親は下……其方は……」


 十朱君は伊能君が見つめる、隣の部屋を一瞥してドアを開けた。


「十朱の部屋って、十朱らしいね」


 中に入ると伊能君は、朗らかに言ってベッドの前に腰を落とした。


「隣って弟の部屋?」


「えっ?」


「双子の弟?兄?どっちだろう?おんなじ顔だから分かんないや」


 伊能君は目元だけ笑ませると、十朱君を見つめた。

 十朱君は視線を四方に動かして、伊能君の視線を避けた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る