第26話

そんな幸せいっぱいの高台先生が、来たばかりの学校の職員室を出て、問題児のいるという、受け持つ二年生のクラスに向かっていると、廊下を物凄い勢いで走って傍を走り抜ける生徒を認めた。


「廊下は走らない!」


高台先生がきつく睨んで声を上げると


「はい、先生」


立ち止まって微笑みかける、それは綺麗な顔立ちの生徒と目が合った。


「先生、ご主人に宜しくね」


「えっ?」


「やっと髪の毛が切れたって……ボヤいてたって言っておいて……」


それでも高台先生からしてみたら、少し髪が長めだろう、と突っ込みを入れたいくらいの髪型の生徒は朗らかに言った。


「伊能君がボヤいてたって……ちゃんと伝えてよ」

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