第二話

十朱真澄

第27話

「あれさぁ……」


 伊能君は休み時間に、校庭を見つめながら呟いた。


「何て言ったかなぁ……?」


 ずっと窓外を見つめながら呟いているけれど、隣の席の十朱君は気になって仕方がない。


「あれ?あれ……双子で野球の……?同じ女子好きになって……一人が死んじゃって……遺された片割れと女子との恋模様の……ん?んんん???」


 伊能君はその美しい顔容を、いろいろと変形させて悩んでいるけど、その変顔すら可憐だ。


「いや、違うか?恋模様じゃないか……は親世代のスポ根つーヤツか?」


 急に伊能君は、机に視線を向けて考え込んでしまった。

 微塵たりとも動かなくてなって、ちょっと怖かったりする。


「東西南北が出て来る……陰陽師か……」

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