第22話

「ねぇ……千夏さん」


千夏は、とても懐かしい声音を聞いて目を開けた。

薄暗い天井がとても懐かしい。

そして微かにかかる首筋の息がとてもくすぐったくて、そして何よりも芳しい香りが千夏の魂を包んでくれる。


「ねぇ……再婚同士の姉と弟って結婚できるんだよ」


「知ってる」


千夏は後ろから包む様にして、抱いてくれている手を摩って言った。


「あれ?起きてたの?」


「寝てたけど、基哉の声で目が覚めた」


「ごめんね……」


基哉は千夏の首筋に、顔を埋める様にして言った。


「……いつか……結婚してくれるの?」


「千夏さんじゃないと、俺死んじゃうよ?」


「大袈裟だね基哉……」


「マジで……」


「うん。分かってる」


千夏は再び瞳を閉じて、温かい基哉を感じながら眠りについた。

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