第19話

結局千夏は他所の男に逃げを見つけ、結婚を決めた。

基哉が卒業して、社会人となった年だった。

そして基哉は言ったのだ。社会人となったから言ったのだ。


「連れ子同士の姉弟は結婚できるから、一緒になりたい」


と………。

何度も何度も言ったのだ。千夏を抱きしめて、千夏に縋り付いて……。

それを突き放したのは千夏だった。

狂った様に罵声を浴びせ狂った様に号泣して、愛してなどいないと言ったのだ。

弟に犯された哀れな姉だと言ったのだ。

……そして基哉はそれ切り、千夏を求める事はしなくなった。

直きに同僚の女性と付き合い始め、そして千夏の結婚式の間際に、その女性との痴情の縺れで還らぬ人となった。

基哉は彼女に、幾度も刃物で刺されて絶命した。

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