高台千夏
第16話
……そうだ。三つ違いの基哉もそう言った。
三つ違いだったから、基哉は小学生で高台千夏は中学生だった。
八年前に妻を亡くした父が、再婚してできた弟だった。
まだ幼かった千夏を、父は男手ひとつで大事に育ててくれた。そんな父を見て育った千夏は、難しい年頃ではあったが、父に対する反抗心などある筈もなかった。
また基哉は少し反抗期に入っていたが、それでも父には懐いていた。
物心がついた頃には、母に暴力を振るっていた実父とは別れて暮らしていたから、誠実で優しい父には直ぐ懐いたそうだ。
思春期の千夏と、その入り口にいる基哉とはギクシャクとした毎日しかなかったが、いつ頃からだろう?お互いに意識し始めたのは……。
いやそうじゃない。
出会った時から意識していたから、だからギクシャクしたのだ。
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