第8話 彼氏の振り
カフェを後にしバカ広いショッピングモール内の至る所を案内していく悠真とついて行く未来。
ゲームセンターやエヌドナルド、先程言った服屋とは別の服屋や靴屋など目移りしてしまう程の数のお店があるが、2人でぶらぶらと雑談などをしながら見ていく。
結構な時間見あるき、気づけば時刻は13時を刺していた。
「そろそろお腹すいてきたしなにか食べよっか?」
「そうですね!あっちにフードコートありましたしそこ行きますか?」
「うん。そうしよっか」
週末のフードコートは家族連れの方が多く、とても賑わっていた。
席を探して歩いているとテラスの周りとはかなり離れた位置に一つだけ空いてる場所を見つけた。
白の丸テーブルにパラソルが付いており、対面式に二つの椅子が置いてある。テラスからは朝待ち合わせをした駅やその街並みが見渡せる開放感があった。
「それじゃあ、買いに行こっか」
「うん……あ、でも荷物取られちゃわないかな?」
「あー確かに。なら俺が胡桃さんの分も買ってくるよ。何が食べたい?」
「いいよそんなの。悠真君に悪いし……交代で行こ?」
「そんなの気にしなくていいよ。胡桃さんは座って待っててね」
「……うーん。それじゃあお願いしちゃおうかな」
「何が食べたいとか決まってる?」
「嫌いなものとか特にないから……だったら悠真君と一緒の物が食べたいかな」
「わかった。多分パスタだけどいい?」
「うん!」
胡桃さんから1000円を貰い、フードコートのイタリア料理を売ってるお店の列に並ぶ。
少しピークをすぎた頃にここに来たのが功を奏したのか、パスタとドリンクのセットを頼んでから数分でよくあるあのブザーがなった。
ブザーのなるまで席に戻るか迷ったが、すぐ出来ると店員に言われた言葉を信じてよかった。
シーフードパスタとドリンクのセットを2つ受け取りテラスの席に戻る。
他の客は1組だけで、その1組ももう片付けを始めており、テラスには悠真と未来の2人きり
…………否胡桃さんの周りに2人のやんちゃそうな服装で胡桃さんに声をかけており、胡桃さんの顔は今まで見たことないほど慌て困っていた。
「そこのお二人さん通してくれますか?」
パスタとドリンクの乗ったトレーを2つ持ちながら声を掛ける。
「なんだおめぇ?」
「……あ、店員か?悪いな今取り込み中なんだよ。そこら辺な置いといてくれ」
2人のうち1人が俺を店員と間違えたらしい。
まあ無理も無い気もしなくもない。トレーふたつ持っててこんな可愛い女の子が座ってる席に来る男が俺なんじゃそう思われても当然な気もしなくもない。
「……すいません。店員じゃなくてそこの女の子の彼氏なのでどっか言って貰えますか?」
そういうと男ふたりは「ちぇ」とありきたりなセリフとも言えない言葉をいい大人しくテラスから出て言った。
……意外だ。言い返してきたり、襲ってくると思っていたがそんなことを考える必要がなかった。
そろそろ腕が疲れてきたからトレーを机に置くか。
「ありがとうございます。悠真君……また助けて貰っちゃいました」
ナンパ野郎が居なくなり、ほっとした顔で言った。
「ううん。それよりこっちも女の子1人残してナンパの可能性考えてなかったし、勝手に彼氏なんて名乗っちゃってこっちこそごめん」
「そんな私なんてナンパされるほどの人じゃないですし、彼氏ってのもなんの問題もないですよ。むしろ嬉しかったです。永久に彼氏でいて欲しいなん……て」
最初はいつもどうりだった声の大きさが段々と恥ずかしくなり小さくなっていき、途中からほぼ悠真には届いていなかった。
「そんなことより、は、早く食べましょ。冷めちゃいますよ」
どこか急かすように胡桃さんが言ってきたが、焦る姿可愛すぎるなぁ。
「この後ここ行ってみたいって場所ある?あるならそこ行くけど」
「うーんそうですね……プリクラ撮ってみたいかも」
続く
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