第7話 カフェは分からない

 2人は服屋を後にし、同じショッピングモール内にあるスーターバックスに入り休憩を仕様としていた。


 客はほとんど居ないようだったので、近くの対面式の席にさっき買った服と半分剥かれた玉ねぎのぬいぐるみを置き、レジに並ぶ。


 前に1人の客が注文しており、その間悠真の脳内は沢山の思考が駆け巡っていた。


 こういう、オシャレなカフェとかお店でスムーズに注文出来る人ってかっこいいよな……。

 でも俺カフェ来たの小学生のころ親に連れられ1回来た以来でなんも知らないし、スモールやらトールやらトロールやら正直訳分からん。てかトロールはモンスターだわ。


 やっぱ胡桃さんはオシャレだしこういった所いきなれてるのかな?

 ここは男として少し情けない気もするが、胡桃さんの注文に合わせるか……?


「悠真くんはこういった所良く来るんですか?」

「うわぁ……ご、ごめん。ちょっと考え事してた」

「こっちこそごめんね急に……」

 全く意識してなく、肩をとんとんとされたので自分でもよく分からないような声を出してしまった。

 ……そんなことより胡桃さんのこの質問なんて答えるのが吉なのか。

 例えば「うん、よく来るよ」こう答えればもし、「そうなんだ、良かったら何がおすすめか教えてくれない?」とか聞かれたらおしまいだ。

 もう1つとしては、「最近は、あまり来てないかな」最近はとかなり曖昧で便利な言葉を使うことによって今流行りな物は知らないよどアピールすることは出来るが、「流行りに乗れてないね」と思われるのも嫌だ……。

 これもう……詰みじゃないか?



 ……はぁもう「実はこんな感じのカフェとかほとんど来たことなくて……」

「そうなんだ。実は私もほとんど来たことないんだ!それじゃあ一緒に選ぼっか」


 万遍の笑みで俺の気にしてたことなんて一切関係ない120点満点な笑顔。

 そっか。胡桃さんはこんなしょうもない事気にする人じゃ無かったな。


 2人はまるでデートをしているカップルの様に1つのメニュー表を見ながら選ぶ。

 お互いの髪が少し相手の顔に触れてしまう、そんな距離で。



 2人は注文を終え、先程荷物を置いた席に戻る。

 2人が頼んだのは抹茶フラペチーノ。

 抹茶やミルクやらが混ざった液体の上にクリームが上手い具合に乗っかっている。



 飲もうと机に置いてある抹茶フラペチーノを取ると、「写真撮りませんか?」胡桃さんが携帯と抹茶フラペチーノを持ちながら言ってきた。

「インタスにあげるの?」

「はい……やってみたくて」

「いいよ。僕で良かったら撮ろっか」

 そう言って胡桃さんの席の方に移動する。


 パシャパシャと撮っていくが、ブレたり悠真が半分しか映っていなかったりと散々である。

 その事に焦ってスマホを滑らせた未来。

「あ、」

 バーンと音がなって地面に落ちたが幸い画面が割れたりとかはなかった。


「すいません。不器用で……こういったの慣れてなくて」

 泣きそうな抱き締めてあげたくなるようなそんな表情になっていく胡桃さん。


「全然大丈夫だよほら貸してみ」

 再び手に待ちスマホを前に伸ばしていた未来に悠真は優しく手を添え写真を撮った。


 昔を思い出させる優しさに未来の顔は赤面に染まっていくがどこか満足そうな嬉し恥ずかしと言ったそんな表情だ。


「もうこれは、インスタにはあげれませんね」

「え、どうして?もしかしてブレてた?」

「そんなことは全くないですよ。完璧です」

「だったらどうして?」

「えへへへ。それは内緒です」

 2人だけの思い出が1つ出来た事で喜びが隠しきれず自然と笑顔になっていくのを感じながら私は悠真くんと話した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る