第652話 陽動して
陽動隊の面々は各々、敵を殲滅している。俺も負けてはいられない。派手に攻撃を演出する為に四元素砲を敵軍のど真ん中にぶっ放した。敵軍にはシールド展開している機体も多くて、出力を抑えていたこともあり、殲滅するほどの損害は与えられなかったが、陽動の一つとしては効果があった。派手な攻撃にざわめきたち、大きな混乱を与えることができた。
俺たちの奇襲により敵軍がこの場所に集まってくる。各方面からかなりの数が押し寄せてくる。もちろん本隊が強行突破する地点からもかなりの数の敵が動いているようで、狙い通りであった。
しかし、派手に強力な技で攻撃していたのが災いしてか、ちょっと厄介な部隊も呼び寄せてしまった。巨大魔導機兵団、以前、戦ったことのある、複数ライダーが操縦するギガントマキア型の大型魔導機で編成されている、見た目も厄介そうな部隊だった。それがこちらに近づいてくる。
「勇太、お前の方にでっかい奴らがきてるぞ。面倒くさいようなら俺が片づけるけどどうする?」
自分で戦いたいのが凄くよくわかるテンションでオヤジが言ってきた。
「問題ないよ、あれの同型と戦ったことがある。デカくてパワーがあるだけで恐れる相手じゃない」
しかし、その考えは少し間違っていた。新型のギガントマキアは、あきらかに性能が向上していた。パワーも装甲もスピードも、搭載している兵器も強力になっているようだ。巨大で耐久力もあるうえにかなりの数がいるので、ちょっと厄介だと感じた。
だけど、そんな強化された巨大魔導機兵団だが、それでも今のアルレオ弐が苦戦するほどの相手ではない。厚く強力な装甲も出力を上げた魔光弾で貫通できるし、剣の衝撃波で胴部を破壊することもできた。スピードアップしたとはいえ、やはりアルレオ弐をとらえるほどの速さではないし、数がいても脅威とまでは言えなかった。
俺が数十体ほどの巨大魔導機を破壊した頃合いに、ジャンから通信がきた。どうやら本隊の突破のタイミングがきたようだ。
「そろそろ本隊も動く。そうすればいくら鈍い敵もようやくこちらの狙いに気づくだろうから、陽動部隊はできるだけ敵軍を引き付けてくれ」
それを聞いたオヤジやリンネカルロは、生き往々と奮起し、さらに攻撃を激化していった。このままでは陽動どころか、敵を殲滅してしまうのではないだろうかと思ったけど、その心配はなかった。次から次へと近隣にいた敵軍がこちらに集まってくる。おそらく俺たちにボコボコにやられている軍が、手あたり次第、周りに援軍を求めていると思われる。
まあ、それが狙いなのだけど、ここまでうまくいくと、それはそれで面倒くさくはなってきた。
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