第651話 闘神たち
ジャンの号令とともに、陽動部隊である俺たちの戦いが始まった。
まずはリンネカルロのヴィクトゥルフⅡが、空から強力な範囲雷撃攻撃を放って戦いの合図とした。
「
広範囲にわたって、強烈な無数の赤い稲妻が踊るように敵軍を蹂躙する。赤い稲妻はかなり高出力のようで、触れるどことか近づいただけで敵の魔導機を粉砕していく。強烈な稲妻の嵐は20秒ほど続き、かなりの数の敵を屠った。威力、殲滅力ともに今までみたことのないほどの強力な魔導撃だけど、その代償もあるようだ。
「はぁ── はぁ── ふう……ちょっと、これ、疲れすぎですわよ……」
相当な量の気力と体力を持っていかれたようで、リンネカルロの疲労がストレートに伝わってくる。
「リンネカルロ、少し休んでろよ。後は任せろ」
「そうですわね、少しだけここで休ませてもらいますわ」
このまま戦っても良いパフォーマンスがでないことをよくわかっている。少しとはどれくらいかわからないけど、無理はしないと思う。
リンネカルロの次に強烈な攻撃を放ったのはオヤジだった。オヤジは弾丸のように瞬間的に加速すると、敵軍の中に入り込み、自ら渦を巻くように動きながら、剣撃を放つ。特殊な技を使ってるわけじゃないけど、その殲滅力はヴィクトゥルフの”火雷大神”に匹敵するんじゃないだろうか……相変わらず規格外だと思う。
さらに清音がオヤジと競うように逆方向に加速する。そしてオヤジを上回るような素早さで動きながら的確に敵を屠っていく。さらにオヤジと違うところは、ちゃんと強力な魔導撃も織り交ぜて攻撃を放っているところであった。清音の乗る、真・菊一文字は、神速、強撃の風の魔導撃、”春夏秋冬”を自在に操り、効率よく敵を殲滅していく。”春夏秋冬”は四つの特色を持つ魔導撃で、近距離、中距離、遠距離、範囲と使い分けて敵を殲滅していった。
渚のディアテナは相変わらず近接一辺倒で、あまり面白みがない。しかし、その戦闘力は脅威的で、近づいた敵機は竜巻に巻き込まれて粉々に粉砕されるように倒されていく。まさに台風の目と化したディアテナは、移動しながら敵軍を翻弄していた。
そしてさらに異次元の戦いをしていたのは英雄の二人、グリュニーとダフスタルであった。グリュニーは威風堂々と空に布陣すると、杖を振るって火球を生み出し、次々とそれを敵陣をそれをお見舞いする。火球一つで超級爆弾に匹敵する威力がある。それを次々と送られる敵軍はたまったもんじゃないだろう。
ダフスタルは波動系の魔導撃を無尽蔵に連発する。この波動攻撃は半円に広がり、巻き込んだ敵機を簡単に粉砕する。それを魔光弾のように連射するので、敵をダース単位で屠っていた。
フィスティナのエルジャナは、氷結の魔導撃をぶっ放していた。普段は温厚な彼女も、派手に暴れまわる必要のあるこの戦いにおいては遠慮していないようだ。エルジャナの氷結の魔導撃はコキュートスレイと呼ばれるもので、直線状に強烈な氷結波動を放つものであった。それを受けた敵機は氷結しながらパリパリと脆い飴細工のように崩れていった。
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