第648話 戦略/???
「グリュニーとダフスタルは無双鉄騎団の元へと下ったか」
暗い部屋、初老の男が、若い男にそう声をかけた。若い男は一礼すると言葉を発する。
「はい、これは我がラドル枢軸連合にとってはかなり危険な展開となってきたと言えます」
「ふっ、危険か……まあ、よい。こうなると制する順番を考えなくてはいけなくなったな」
「エリシア帝国ではなく、ニルヴァナ同盟を叩くということですか」
「我々だけでニルヴァナ同盟を叩くには損害がばかにならない。ここはエリシア帝国にも手伝ってもらうことにしよう」
「共闘するということですか!? いや、我々がそう考えても、エリシア帝国がこの話に乗ってきますかね」
「一戦だけの共闘なら可能だろう。小国の集まりで自力のないニルヴァナ同盟だ。一度の大敗で空中分解するのは目に見えておるわ。まあ、それにはそれ相応の手土産が必要になるだろうがな、その点は問題ない。わしの持っているもので、ルシファーが欲しているものが一つある」
「欲しているものとはどのようなものですか」
「お前に言う必要のないものだ。なのでルシファーとの交渉はわしが自らおこなう」
若い男は不満そうな表情をするが、意見を言うにはあまりに力関係に差がありすぎた。黙って頭を下げるとその提案に同意した。
「それとは別に例の件はどうなった」
「はい、新システムによる新型魔導機の製造ですが、すでに試験機の七機が完成しております」
「そうか、それは南瑠璃子の隊へ送ってやれ、それでかなり戦力が強化されるだろから、それ相応の戦場を与えてやるとよい」
「御意、仰せのままに」
「それと英雄に代わる戦力としてアレを実用化する」
「まさか、神造人間をお使いになるのですか!」
「そうだ、多少の危険はわかっておるが、他の勢力が超級戦力を有しておるのに我々にそれが無いのは不公平だろ。比較的安定しておる、七番と十五番を起動できるように準備させろ」
「しかし、よろしいのですか、極地暴走すれば敵どころか味方すら壊滅する可能性が……」
「その時はその時だ。不運だったと思うしかないだろう」
「わかりました、仰せのままに、七番と十五番を起動するようにいたします」
若い男は渋々、初老の男の指示に従った。それほど危険な指示だというのは、若い男の反応でわかるのだが、初老の男は少しの不安もないように見えた。それほど自分の判断に自信があるのだろうが、それ以上に何か心の底では別の事を考えているようにも見えた。
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