第638話 強力な救援
すでに三桁近い敵機の攻撃を防いでいる。かなりの疲労感が体に感じ、危険を知らせる警報が頭の中に響いている。それでも白雪さんとエミナの守る為に気力で動いていた。
疲れが溜まってくればミスも出てくる。敵機にアルテミス改に迫られる場面も出てきて、危険度は増すばかりであった。ジャンの言う救援が待ち遠しくなった頃合いに、その救援が見えてきた。
高速で飛行してくるのは金色と銀色の魔導機で、もちろん知った救援だった。しかもこれ以上ないくらいに頼りになる人物たちだ。
「フェリ、勇太、待たせたな」
「ごめんなさい、緊急発進でしたので準備に少し時間かかかってしまいました」
「ダフスタル、グリュニー、君たちがきてくれたんだ」
「本隊で唯一暇だったからな、体を動かしたかったから丁度いい」
二人は、会話しながらも、すでにサポートの行動に移っていた。グリュニーは俺たちの周りにいる敵を空から無数の火球で攻撃する。ダフスタルは何やら武装を開放しながら地上に降りてきた。
ダフスタルの乗る銀色の魔導機が地上に降り立つと、機体の一部が変形して、突起が現れる。その突起部分から無数の光が煌めき、周りの敵機に放射される。光は敵機のボディーを溶かすように破壊して倒していく。
グリュニーの金色の魔導機が振るう杖からほとばしる火球は、無数に分裂して地上の敵機に降り注ぐ。火球の熱は凄まじく、耐熱特性のある魔導機の装甲すらドロドロに溶かして誘爆させる。
いきなり現れた強敵に、敵も怯んでいるのがわかる。警戒して明らかに動きが鈍っていくのがみえた。
「勇太、敵機は全て二人に任せてアルテミス改をエスコートに集中してください」
この言葉からフェリが英雄二人を信頼しているのがよくわかる。俺はフェリの助言通り、アルテミス改に付き添い、帰艦に集中して進むことにした。
やはり英雄の力は凄い。無数にいる敵でも、アルテミス改に近づけるのは僅かで、それを処理するのは楽だった。さっきまで白雪さんよエミナを守ることに集中して余裕がなかったけど、二人の英雄のおかげで余裕ができると、当然のことのように白雪さんの容体が気になり始める。
「フェリ、白雪さん── いや、あの魔導機に乗っていた子なんだけど、大丈夫かな」
俺はフェリは何でも知っていると思っている。この問いにも簡単に答えてくれると期待して聞いた。
「さすがに詳しくは検査をしなければわかりません。しかし、強力な精神汚染を受けているのは明白で、心身ともに危険な状態なのは間違いないでしょう」
やはり危険なのは間違いなさそうだ。彼女との思い出が頭をよぎり、心臓が張り裂けそうなくらいに激しくなっていき、息苦しく、どんどん焦る気持ちが大きくなっていった。
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