第637話 危険な帰艦
白雪さんの部下が身を挺してサポートしてくれたこともあり、その場からなんとか抜け出すことができた。しかし、まだまだここは敵の勢力圏内で危険な場所だ、なんとかヤマトまで帰艦しないと安心できない。
「エミナ、白雪さんは大丈夫か」
「気を失ってるけど、ケガとかはしてないみたい。でもあの精神状況だったから、早く治療しないと心配だわ」
「わかった、ここは急いでヤマトに帰艦しよう」
正直、俺とアルレオ弐だけならどうにでもなるんだけど、白雪さんを抱えたアルテミス改を安全にエスコートするのは難易度の高いミッションになりそうだ。
すでに捕捉されている状況ではアルテミス改のステルスも意味ないし、ここは強行突破しかなかった。
「エミナ、戦闘は全て俺に任せて、エミナは身を守ることだけ考えてくれ」
「了解」
エミナの部下にもそれぞれで本陣に帰るように伝えたようだ。そっちはステルス部隊なので、単独で撤退するのは問題ないだろう。問題はこちらだった、敵は容赦なく俺たちに殺到してきて攻撃を加えてきた。
右方向から二機の魔導機が光学兵器を連射して攻撃してきた。俺はアルテミス改を守るように壁となり、魔光弾で応戦する。アルレオ弐の魔光弾は一発で重装魔導機の装甲を破壊するほどの威力がある。それを連射で受けた二機の敵は紙屑のようにボロボロになり倒れる。
撃ち合いでは不利だと感じたのか、1ダースほどの部隊が斧や剣を振り上げて攻撃してくる。接近前に魔光弾の連射で三機を屠ると、近づいてきた順番に斬り伏せていく。
アルテミス改にも襲い掛かろうとしている敵機が見えた。近づく前に魔光弾でハチの巣にして対応した。
なんとか襲ってきた敵機に対応しているが、絶え間なく後続がやってくるのできりがない。アルテミス改だけでも逃がせないか考えるが、やはりヤマトまで帰艦するルートや方法は見つけることはできなかった。
「勇太、ジャンに相談してみたらどう? 何か解決策を考えてくれるかも」
確かにそうだな、向こうも大軍から攻撃を受けて忙しいとは思うが、ジャンなら何か考えてくれるかもしれない。
「そんな状況になってるならもっと早く相談しろ! こっちが忙しそうだとか関係ねえだろ! 馬鹿かお前ら! すぐにこちらから救援を出すからなんとか持ちこたえてろ!」
状況を説明したら無茶苦茶怒られた。救援がくるそうだけど、本隊も激戦中なのに誰がくるんだろうか。中途半端な戦力だと守る人間が増えるだけで問題の解決にはならないからな……。
まあ、とにかく救援がくるとわかって時間を稼ぐことだけ考えればよくなり、ちょっと心の余裕はできた。白雪さんは心配だが、今はこちらに向かってくる敵に集中しよう。
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