第501話 女の戦い 後編

ここまでの結果では、98点とフィスティナの得点が一番高い。このままいけばフィスティナの優勝かと思っていたのだが、出場順の公平を期すために、1点差くらいの僅差の場合は決選投票になるそうで、97点のリンネカルロにもまだ可能性があるそうだ。


次に元気に登場してきたのはミルティーだ。奔放な彼女は、健康美溢れる体を惜しみなく披露している。露出度ではこれまでの中では一番ではないだろうか、もはや紐くらいの水着に、最低限だけを隠している。顔を熱くさせて彼女を見ていたのだけど、なぜか渚に顔を振られ視線を外された。


男性受けしたミルティーは、92点と高得点だった。少し伸び悩んだのは女性からの支持が少なかったのが要因ではないかと渚が分析する。意味はよくわからないけど、露骨な媚びは同性から嫌われると教わった。


ミルティーの甘い盛り上がりの後に、彼女とは真逆の威風堂々と登場してきたのは新規加入した元剣闘士のジュネージュであった。普段は清楚で大人の雰囲気の彼女は、艶やかな長い黒髪を上に盛り固め、女帝の風格を醸し出している。さらに誰に入れ知恵されたのか、セクシーなボンテージ衣装に身を包んでいて、鞭を持ったら似合いそうと勝手に想像してしまった。


新顔で、新鮮味のあることから得点も95点と伸びた。彼女は得点など気にすることもなく、クールな表情で退場していく。


ここまでくると次に誰が出てくるのか予想できなくなる。逆に楽しみになり、登場するのを待ち望んだ。そして出てきたのはブリュンヒルデだった。


幼い見た目の彼女は、その姿を利用して、女性の美しさより子供ぽい可愛らしさを押し出して勝負するようで、露出の少ない猫耳のキャラクターで勝負に出た。会場には子供も多くいたので、この愛らしい恰好に家族連れは微笑ましく盛り上がった。


しかし、当然のことだが明らかに趣旨とずれてることもあり、得点は82点と盛り上がりほどの点数はでなかった。



司会から次で最後とのアナウンスがあった。あらかた知っている女性は出場したと思うけど、誰か残っている人っていたっけ? 誰だろうと、ナナミやファルマたちとも話をしていると、ポップで軽快な音楽が流れ始める。さらにいつ用意したのか、派手なライティングがステージを照らすと、最後の出場者が姿を見せた。


「嘘だろ……」

「あれって……」


それはフリフリのアイドル衣装に身を包んだだった。思わず絶句する俺や渚を置いてけぼりにして、会場はそれなりの盛り上がりを見せる。


さらにラフシャルは音楽に合わせて歌い始めた。まるでどこかのアイドルグループが歌うような曲を違和感なく歌い、なかなか上手だ。驚くべきは振付までして、まるでアイドルのライブのようなパフォーマンスを見せていた。


そう言えばこの世界にきて、こういうエンタテインメントは見たことが無い。地球出身の俺や渚はともかく、こちらの人間にとっては新鮮なようで、信じられないような盛り上がりで会場が爆発しそうだ。


審査員たちもラフシャルのステージに感動したようで、点数は驚きの100点満点、文句なしの優勝となってしまった。いや、そもそもミス無双鉄騎団なのに、男性のラフシャルが優勝していいのか? そんな疑問はあったが、周りは全然気にしていなようだった。

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