第502話 作戦/結衣
私、ロゼッタ、アージェインの指揮する中央方面軍は、エリシア帝国の南方に隣接する大国、ラーシア王国の攻略の為に、要所であるマノニ要塞へと進軍していた。
魔導機五万機のエリシア帝国中央方面軍に比べ、マノニ要塞を守るラーシア軍は魔導機一万二千機、戦艦級ライドキャリア三百隻、兵員三十万人と数では劣るが、要塞の防御力と、地形の優位性を利用して、激しい抵抗を見せていた。
「まずは、北東にある砲門群を叩けばどうだ? そうすれば中央の要塞本部への攻略が楽になるんじゃないか」
要塞北東には大量の敵砲門が設置されていた。その砲撃に苦しめられていることもあり、アージェインはそんな提案をした。しかし、ロゼッタが現状を見て、その作戦の困難さを指摘する。
「確かにそうだけど、無数の砲門は全て山上に設置されているから破壊するのも一苦労だわ。それに砲門群の下は亀裂のように広がっている渓谷で思うように軍は動かせないから大軍で一気に攻略するってのも難しそうよ」
「そうですね、それに北東には強力な魔導機部隊が配置されていると情報にありますし、簡単ではないでしょう」
中央方面軍の参謀であるホロストイもロゼッタの指摘に賛同する。私はその話を聞いて、意見を言うつもりはなかったのに、思わずこう言ってしまう。
「……少数精鋭の部隊で、山上までいって砲門を破壊するのはどうですか、崖を登れるほどの性能がある機体を厳選すれば、強力な敵部隊を避けるルートもとれるでしょうし」
「それは良い案だな、闇夜に実行すればさらに成功率は上がりそうだ」
「しかし、崖を登れるほどの性能がある機体となると限られますね。飛行部隊ではいけませんか?」
すぐに賛成するアージェインに対して、ロゼッタは代案を提示する。
「飛行時に大きな音がする飛行部隊の魔導機ではすぐに気づかれてしまうでしょうし、対空砲撃で狙い撃ちされますでしょう」
対空砲撃という聞きなれない言葉に、ホロストイに説明してもらう。
「対飛行魔導機用の兵器です。と言っても並みの国には実践レベルの飛行部隊など存在しませんし、現状で飛行部隊や対空砲撃を所有しているのは我が国かラーシア王国、後はラドルカンパニーくらいでしょう」
どうやら最先端の兵器らしい。確かに空飛ぶ魔導機は何度か見たことあるけど、全体数は少ないように感じる。
その後もマノニ要塞の攻略の話が進み、結果、私の少数精鋭の部隊での砲門群の破壊作戦が正式に採用された。しかし、崖を軽く登れる魔導機の選定は難しく、結局、私、ロゼッタ、アージェインもその部隊に加わることになった。
指揮官三人が別動隊で行動するのには懸念点もあったけど、要塞で防御に徹しているラーシア軍からの本格的な攻撃は無いだろうということで話はまとまった。
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