第469話 久しい場所/ジャン
メルタリア王国に入国した俺たち無双鉄騎団は、自国の王女の帰還も手伝い熱烈な歓迎で出迎えられた。その光景を見て剣聖や清音などの初めてメルタリア王国に来たメンバーたちが驚いている。
「凄い人気だな」
「剣豪団が三国同盟に入ると歓迎してくれますけど、これほどではありませんよね。それほど無双鉄騎団がこの国に慕われているということですね」
二人の言葉に気をよくしたのか、アーサーが自慢げに語る。
「この天才剣士にて絶世の美男子のアーサーの人気もさることながら、やはり天下十二傑で王女であるリンネカルロさまの人気は絶大ですからね。国宝のヴィクトゥルフが帰って来たという情報も伝わっているらしいですので、もはや国中パニックレベルの歓迎になっていると思います」
「おいおい、そうだとすると、天下十二傑が増えてるって知ったら卒倒者が続出するんじゃねえか」
「それはありますね。メルタリア国民はミーハー気質ですからね、有名人の名前に弱いところはありますので、さらなるパニックすらなりえます」
半分冗談で言ったのだが、アーサーはさらっと肯定した。
王宮に入るとすぐに、王自らが迎えてくれた。ユーディンは前より幾分か精悍な顔つきになっていて、より王らしくなっていた。
「姉さん、お元気そうで何よりです」
「ユーディンも元気そうで良かったですわ、王の風格も出てきたみたいですわね」
「いえいえ、まだまだ王としていたらないことばかりです。それより勇太さんの姿がみえませんがどうしたのですか?」
姉の思い人がいないことが気になったようで、何より先に聞いてきた。
「勇太は別行動中ですので、遅れてきますわ。心配しなくても、今の無双鉄騎団なら勇太がいなくても頼りになりますわよ」
「その辺りは心配しておりませんよ。無双鉄騎団の皆さんはそれぞれお強いのは存じております」
「それじゃ、何が気がかりですの?」
「あっ、いえ、その……姉さんの将来と言いますか……」
王としての風格が出てきたと言っても、まだまだあの姉には頭があがらないのか、ユーディンは歯切れ悪くそう返事する。どうやら若き王にとっては、姉の将来の伴侶についても重大な問題だと認識しているということはよくわかった。
「さてユーディン王、そろそろ仕事の話をしよう」
いつまでも姉弟の話を聞いているわけにはいかない。本題に話を戻させてもらう。
「あっ、申し訳ありません。そうですね、それでは現在のメルタリアの現状を説明させていただきます」
おおよその予想はしていたが、状況はそれよりも少し悪い方に傾いていた。ユーディンの話によると、どうやらメルタリア王国周辺の国家が対エリシア帝国を謡い同盟関係となったという。それだけならメルタリア王国としてはそれほど問題ないことなのだが、どういう理由かわからないがメルタリア王国はエリシア帝国の手先という位置づけにされ、その同盟から宣戦布告されたというのだ。
「同盟の規模はどれくらいなんだ」
「参加十五か国、魔導機数一万二千機以上の戦力があります」
「南西国家群のほとんどじゃねえか」
「はい、現在メルタリア王国は孤立状態となっています。まだ本格的な戦闘は起こっていませんが、それも時間の問題です」
「実際、メルタリア王国とエシリア帝国は関係ないのですからその同盟に説明してはどうなのですか?」
「もう何度も特使を送って説明しています。しかし、どういうわけか誤解が解けないのです」
なるほど、どうも裏で何かが動いている気配を感じるな……こりゃ予想より面倒なことになりそうだ。
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