第460話 赤いオーラ/クルス
このままでは金色の魔導機にやられる──
時間にすれば一瞬の間であったが、かなりの思考の迷いを経て決断した。
「レイナ! 仕方ありません、魔覚醒を発動しましょう。このままでは忌まわしき敗北の二文字が現実となります」
短い付き合いだが、レイナが私以上にプライドの高い女だということは理解していた。敗北を嫌うの彼女は即答する。
「命より勝利をですね、わかりました。クルス指令、抜け駆けは無しでいきましょう。同時に魔覚醒を発動してください」
自分にだけ魔覚醒させて、金色の魔導機の相手をさせるという暴挙を警戒してか同時発動を提案する。もちろん、その案も考えたけど、後々面倒になりそうなので諦めていたので問題ない。私は同時発動に応じた。
「わが命を糧として力を与えよ! 魔覚醒発動!!」
私とレイナの声が重なる── そして激しい痛みが体中に走る。寿命を食らうとはよく言ったものだ。まさに自分が貪り食らわれているかのような感覚に恐怖を感じる。しかし、その感覚は長くはなかった。すぐに沸き上がるような力を感じ、高揚感と快感に差し変わる。
「フッ── クセになりそうな感覚ね……悪くないわ」
ドミニオンとアフロディテの二機は真っ赤なオーラに包まれていた。金色の魔導機は二機の変化に少し警戒しているようだ。だけどもう遅い、圧倒的な力の前にひれ伏すがよい。
元々スピードタイプのアフロディテは、さらに驚くような素早さで、金色の魔導機に迫る。だけど、その動きにすら金色の魔導機は反応した。首を狩るつもりで放たれた大鎌の一撃はシールドに防がれる。金色の魔導機はすぐに右手に持った斧で反撃してくる。レイナは辛うじてそれを横に避けた。
金色の魔導機は横に避けたアフロディテを追うように追撃の一撃を放つ。厳しい体勢ながら鎌で受け止めると、小さく後ろに跳躍して離れ際に蹴りを入れる。金色の魔導機はその蹴りを避けながら、後ろにさがったアフロディテを追う。
金色の魔導機の斧とアフロディテの鎌が激しくぶつかる。その攻防はオーラのぶつかりとなり、周囲に激しい閃光をまき散らす。
まさかの互角の攻防に驚く。やはり金色の魔導機も魔覚醒を使用している……。
金色の魔導機がアフロディテに注視している間に、ドミニオンは上空を旋回して後ろに回り込む。そしてタイミングをみて一気に急降下しながら槍の一撃を放った。魔覚醒によりパワーもスピードも跳ね上がったドミニオンの一撃だが、信じられないことに金色の魔導機は反応してきた。アフロディテを斧の攻撃で押し返すと、振り返り、シールドを構える。
もう軌道の変更もできない。構えたシールドに向かって槍が激しくぶつかる。オーラのぶつかりは大きな爆発を起こした。空を飛ぶドミニオンは踏ん張ることもできず、その爆風に吹き飛ばされた。
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