第447話 空を制す

敵は超加速によって高速に飛行するアルレオ弐と、遥か上空から強力なアロー攻撃を放ってくるガルーダⅡの連携攻撃に完全に翻弄されていた。向こうの方が数が多いのだから部隊を分けて対応すればいいと思うけど、この状況をまったく想定していなかったのか、どうしていいかわからないようだ。


俺が二十機ほど斬り伏せた辺りで、ようやく敵は落ち着きを取り戻してきた。不用意に接近されないように、お互い距離を取って配置を広げた。敵に接近することで魔導光学兵器の発射を防いでいたのだけど、それもできなくなってくる。


二機の敵を切り裂いて次のターゲットを見定めようとした瞬間、ドンッと後ろから押されたような衝撃を感じる。どうやら魔導光学兵器が命中したようだ。すぐにフェリがダメージ報告をしてくれる。


「後部装甲に被弾、ダメージは軽微で機能などに影響はありません」


やはりラフシャル自慢のアルレオ弐の装甲は丈夫だ。強力な武器でも、一撃や二撃ではびくともしない。しかし、ダメージが無いわけではないので、油断して攻撃を受けまくってたらそのうち装甲も持たなくなってくるだろ。なるべく避けるように気を付けないと……。


広範囲に散った敵の飛行部隊は、ファルマのガルーダⅡも標的とし始めた。高い位置を飛行しているガルーダⅡを下から見上げるように狙い撃つ。だが、ファルマの飛行戦闘能力の高さは想像の上を行く。上手く狙いをそらしながらアローで敵機を的確に射貫いていく。


ファルマに負けてられない。俺は魔光弾で敵を破壊、牽制しながら敵機に接近して剣で斬り伏せるを繰り返す。さすがにファルマと違って、全方位から狙い撃ちされている状況で全ての攻撃を避けるのは難しく数発被弾するが、アルレオ弐の装甲に助けられて大事には至らなかった。


気が付けば敵の飛行部隊は一桁までに減っていた。その状況に生き残った敵機たちは勝ち目がないことを悟ったのか、本陣に向かって逃走を始めた。飛行部隊を生き残らせては厄介なので、俺とファルマは逃げる飛行部隊を魔光弾とアローで追撃する。


逃げる敵機七機のうち三機を撃墜することができたが、残りは逃げられてしまった。


そのまま追いかけるのは危険だし、ナナミの守る地上も心配なこともありそれ以上の追撃はあきらめる。


「ファルマはこのまま上空からアローで攻撃してくれ。俺は地上の手伝いをしてくる」

「うん、わかった。気を付けてね」

「エミナがデアグラフル侯爵を見つけたら一緒に倒しに行こう。それまで踏ん張ろう、絶対に一人で突っ走ったらダメだからな」


「わかってるよ。勇太のおかげでもう落ち着いてるから無茶はしないよ」


もう感情的になっていないので大丈夫かと思ったけど、念のために釘をさす。エリシア帝国の魔導機は侮れない、いくらファルマが凄くパワーアップしているとしても一人で敵陣に乗り込むのは無茶なので、そんなことはして欲しくなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る