第445話 空中戦

魔導光学兵器の攻撃を避けられた敵の飛行部隊は、次の攻撃で確実に仕留めようと考えたのか俺たちを囲むように展開する。確かに全方位から攻撃をされたら避けるのは厄介だ。


「ファルマ! 俺が敵の注意を引き付けるからそのまま上から敵を狙い撃ってくれ」

「無理しないでね、勇太」


確かに制御のかかったアルレオ弐ではあまり無理するのは危険だろう。集中して、効率よく動くことを考える。まずは敵の注意を惹く為に、前方で魔導光学兵器を構えた二機の敵を派手に倒すことにする。


瞬間的に超加速して、一瞬でターゲットとの間合いを詰める。アルレオ弐の超加速は初体験のスピードだったようで、魔導機ごしにもわかるほどに敵のライダーは驚いていた。慌てて魔導光学兵器を発射しようとしたが、それより早く、俺の剣が二機のターゲットを横一閃に両断する。


あまりに唐突で予想していない反撃だったのか、敵の飛行部隊全機に動揺が広がる。その動揺は大きな隙となった。そんな好機を上にいる凄腕スナイパーが見逃すはずがない。ファルマは素早く構えると、狙いを定めてアローを放った。


アローレインとは違う、一点集中の強烈な一撃は一筋の光となって敵の機体を貫く。さらにファルマは間髪入れずに次の敵機に狙いを定め、アローを放つ。飛行しながらアローの狙いを定めるのは難しいと思うけど、外れるイメージができないほどの安定感で次のターゲットも貫いた。


上空からの攻撃で二機をやられて敵も上に注意を向ける。その隙を狙って一番近い敵に接近して斬り伏せる。さらに魔光弾を連射して、ガルーダⅡに魔導光学兵器を向けようとした飛行部隊の一部をハチの巣にする。


敵はアルレオ弐を脅威と思ったのか、上のファルマからこちらに狙いを戻す。しかし、俺は超加速を使い敵に接近を繰り返していたので、味方を誤射するのを恐れてか敵は中々魔導光学兵器を撃つことができない。その間にも接近した敵機を次々に撃破していく。


敵がアルレオ弐の機動力に翻弄されている間にも、上からはガルーダⅡのアロー攻撃が続く。アローを嫌がった敵の数機が、どうにかしようとガルーダⅡに向かって上昇していく。ファルマは近づいてくる敵機から離れるようにさらに上昇しながら、アローを連射する。敵機も魔導光学兵器を構えて反撃しようとするが、魔導光学兵器は発射速度が遅いのが欠点のようで、ガルーダⅡから素早く放たれるアローのまえに、反撃の隙を与えられず撃ち落とされていく。


一撃で瞬殺しまくって言うのもなんだけど、敵の飛行部隊だが、個々の能力は決して低いわけではない。結果は防ぎきれずに倒れているが、ちゃんと攻撃に反応しているし、近接武器を装備していたらまた違った状況になっていたかもしれない。そんな強敵の部隊相手にも、ファルマはちゃんと対応している。少し見ない間に想像以上にパワーアップされていて、ちょっと驚いていた。

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