第395話 爆発物との戦い/ジャン

爆発物の中身を見て、すぐに言霊箱に手を伸ばした。俺の力だけではこいつの解除をするのは不可能だ。すぐにフェリの助けを求めようとした。


しかし、なぜかアルレオ弐との回線を開くことができない……。何度やっても応答すらない。


「クソッ、こんな時にどうなってるんだ」


それから何度か試したがやはりダメで、フェリに聞くのは無理そうだ。どうする……こんな爆発物の解除ができる奴なんて他にいないぞ。


そう思ったが、フェリ以外にそんなことができそうな頭のいい奴が仲間に一人いることを思い出した。


だが、今、フガクはアムリア連邦奥地にいる。ここからかなり距離があるのでうまく通信できるかわからなかった。


まあ、考えていてもしかたない。ここはダメもとで回線を開いてみよう。そう思い、言霊箱の設定をフガクに合わせた。


「こちら、ジャン。フガク、聞こえるか?」


ガ──ガガッ────ブーブー──ガッ──


やはりダメか……そう思った時、小さい声で返事が返ってきた。


「──ジャン、こちらフガク、何かあったのかい?」

「おっ! アリュナか!? 悪いがすぐにラフシャルに代わってくれ!」

「慌てて何だい。その様子だとまだ剣聖は復活してないようだね」

「いいから、早くしてくれ! 事情は後で説明する!」

「ちょっと待ってな、今、呼んでくるから」


それから待たされている時間が果てしなく長く感じた。爆発物が爆発する時間も定かではないので気が気ではない。


「ジャン、何かあったのか?」

「おっ~ ラフシャル! ちょっと爆発物の解除に協力してくれ!」

「爆発物? わかった。その感じだと急いでるみたいだね。その爆発物の構造をわかる範囲で説明してくれ」

さすがは大賢者だ。爆発物という単語と俺の様子だけで、だいたいの状況を把握したようだ。


「説明するぞ、ラフシャル。まず、中心に液体の入った容器が見える。その容器の周りには赤黒い石が大量に設置されてる。それらを覆うようにフワフワの綿のような素材が詰められているな。端っこにはなにやら機械が取り付けられていて、メーターがちょっとずつ右に移動していっている」


「白い蒸気はでてるか?」

「出てるぞ。下の方からモクモクと吹き出してる」

「だとすると間違いなく、核融合液の暴走反応を利用した爆発物だね」

「やばいものか?」

「核融合液の量によるけど、コップ一杯で半径一キロくらいは軽く吹き飛ぶ」

「おいおい……核融合液って、中心のこの液体じゃねえだろうな。軽くコップ千杯分くらいあるぞ」

「凄い規模だな。何を破壊してようとしてるんだ?」

「研究施設だよ」

「なるほどね。それなら納得だ」

「いや、納得してねえで解除方法を教えてくれ! 早くしないと爆発しちまう!」

「そうだね。メーターはどれくらい移動してる?」

「七割くらいだな」

「よし、まだ時間はある。それじゃ、まずは温度上昇を抑えよう。下の方に箱型の機器が置かれてないか?」

「おっ、あるある」

「それを慎重に取り外してくれ。あまり衝撃を与えるなよ。下手するとそれだけで爆発する可能性がある」

「まじか……」


俺は工具を使って、その箱を慎重に取り外す。ネジみたいなのを外してる時、手が箱の凹凸に当たってガンとなった時には心臓が止まるかと思ったが、なんとか爆発はしなかった。

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